風の無い日


風が無い日
草木は止まり
静かな駅のホームで
私の吐く白い息だけが生きている

人を傷つけずに生きていくことは
とても難しくて
まるでその白い息が消えずにいることのように
難しくて

それでも
いつかは風が吹くように
いつかは電車が滑りこみ
人の声がするように

私は生きていく
傷を癒すこともできないまま
それでも

残酷なのかもしれない
私の生きていく姿が
あなたにはどう映る?
せめて
残酷だと思ってくれればいい
傷を癒せないなら
また
傷つけたくはないから

ありがとうをたくさん
ごめんねもたくさん
それでも黙ったまま
私は生きていく