SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと How To Live Safely in a Science Fictional Universe (Charles Yu)
2010年 出版
2014年06月 早川書房 新・ハヤカワSFシリーズ5015
<内容>
タイムマシンの修理とサポートの仕事をする技術者の“僕”。僕は小さなボックスのなかで、時間のはざまを漂いつつ暮らしながら、父と母のことを考える。タイムマシンの開発にあと一歩というところまでこぎつけながらも失敗し、失踪してしまった父。タイムマシンのサービスのなかで同じ時間を繰り返す中で生き続ける母。そして僕は、あるとき、最悪のタイム・ループに陥ってしまい、そこから抜け出せなくなる羽目となり・・・・・・
<感想>
最初は内包的な自分の小さな世界のなかで細々と主人公が暮らす話なのかと思いきや、そういうわけでもなさそうな。ちらほらと、主人公が外に出て、他の人との交流をしていたり、普通に社会人として過ごしていたりと、完全にひきこもった状態ではなさそうな。ただ、そうは言うものの、主人公は自身の囲いの中でのみ暮らしていくことを好んでいそうな雰囲気を感じ取れる。
単に内包的な話かと思いきや、中盤において主人公がタイプ・ループに組み込まれることにより物語が動き始める。ただ、その動きにより内包的と思われた主人公よりも、実は彼の父親のほうが内包的であったということがわかったと、そんな感じのみ。まぁ、タイトルから想像する範囲の物語を超えるようなことはなかったかなと。ラストについても、決して好みの終り方とは言えなかった。