ニューロマンサー Neuromancer (William Gibson)
1984年 出版
<内容>
ハイテク技術がおりなす近未来。かつて電脳空間のなかを思うがままに飛翔していたケイスは、今ではその能力を奪われ、鬱屈しながら日々を送っていた。そんなある日、ヤバイ仕事の話が舞い込んでくる。しかし、仕事を引き受ければまた電脳空間へと飛翔することができる。そうしてケイスは自ら騒動の渦中へと踏み込んでいくこととなり・・・・・・
<感想>
サイバーパンクの代名詞とも言われる作品なのであるが、パッと読んでみても何が書いてあるかがわからない。近未来を描いた小説であるのだが、その背景や成り立ちといった説明などは一切省かれている。物語は主人公を中心とした行動描写のみ。それゆえに、さほど複雑なストーリーのようにも思えないのだが、詳細を読み取ることはいたって難しい。
さらに内容を分かりづらくしているのは、電脳空間における視点と、普通の状態での視点が入り乱れていること。これも細かな説明はなく、とにかくこういう視点で見えるからと、言わんばかりに物語はどんどんと進んでいく。
しかし、一番感心するのはこれが発表された1984年にしっかりとこの作品が評価されているところ。そのへんはSFというジャンルの懐の深さゆえか。一読した限りでは、この作品のすごさに触れることができなかったゆえに、いつか再読を試みたい。そのときには、紙と鉛筆をしっかりと用意して熟考しながら読みふけりたい。ただし、本当はそんなスタンスではなく、物語のぶっ飛んだ様相を単純に楽しむというのが正しい読み方なのかも。