Self-Reference ENGINE
2007年05月 早川書房 ハヤカワSFシリーズ Jコレクション
<内容>
プロローグ
Writing
第一部:Nearside
01 Bullet
02 Box
03 A to Z Theory
04 Ground 256
05 Event
06 Tome
07 Traveling
08 Freud
09 Daemon
第二部:Farside
10 Contact
11 Bomb
12 Japanese
13 Yedo
14 Sacra
15 Infinity
16 Disappear
17 Echo
18 Return
エピローグ
Self-Reference ENGINE
<感想>
うーん、これは読み通すのがきつかった。最初は長編かと思って気軽に読んだものの、短編集であったとは。しかも、それらの短編集が主題がはっきり決まったものであったらよかったのだが、とにかくバラバラでページの短い話が羅列されているというかんじであったので、これは読みづらいとしかいいようがない。これならば、難しい長編のほうがまだとっつき易いと思われる。
よって、最初のほうの未来から拳銃で撃たれて、その弾が頭に残っている少女の話とか、家系につたわる箱をひっくり返すという奇妙な伝統を続ける男、という話くらいしか印象に残らなかった。
これくらいの内容であれば、まだ面白いと感じられたのだが、それ以後はもうついていくのもアップアップという状況。
ただ、この物語のやっかいなところは、最初にバラバラの内容の短編と書いたものの、どこかそれら全てに奇妙な結びつきがあるように感じられてしまうからである。実際に、複数の短編にわたって同じキーワードが使われているものもある。ただ、だからといってそれらの短編がきちんと結びついているというわけではなく、あくまでも仮想的な世界の中に、それぞれの短編が存在してますよというレベルくらいにしか感じられないのである。しかし、ひょっとしたら、もっと大きな結びつきが・・・・・・などと邪推してしまいたくなるからこそ、これがやっかいな存在なのである。
まぁ、この作品に関しては向き不向きがあると思われるので万人はお薦めできないが、ハードSFを読みなれている人とってはたまらない作品といえるのかもしれない。