「ダブル・プロット」は短編集「記録された殺人」に、未収録作品のままであった3編の作品を追加したもの。この「記録された殺人」も読んだのはずいぶん前で、全く内容を覚えていないので、改めて読み直してみたいと思っている。
先日、「SFが読みたい!」を購入したのだが、今現在少しずつ読み進めている作品がちょうど国内BEST1に輝いた上田早夕里氏による「華竜の宮」という作品。この作品は以前書かれた短編「魚舟・獣舟」という作品の設定を用い、長編化したものである。
この作品を私は少しずつ読み進めていると最初に書いたのだが、何故少しずつかといえば作品が“長い”からである。この作品の長さについて、今回はここで述べてみたい。
最近のSF作品についてなのだが、この“長さ”という点が非常に目立っているように思える。特に“ハヤカワSF Jコレクション”から出る作品がどれも長いものが多いように思える。また、それだけではなく海外SF作品に関してもこうしたページ数の厚い作品を顕著に見受けられる。ただ、ちょっとそのどれもが長過ぎはしないかと思うわけである。
確かに過去の良作と言われるSF作品を思い返してみると長大な作品というのは多い。だからといって何でもかんでもページ数を長くすれば良いものではないだろう。特に新人の作品があまりにも長かったりするのはどうかと感じてしまう(さらに読んだ挙句につまらなかったときにはもう)。
今、読書離れが進んでいるというなかでSF作品はどのくらいの割合で読まれているのだろうか。もともとSFというのがマニアックなジャンルではあるので、誰もが読むというものではないのであろう。そうした読者層が少ない中で長大な作品ばかりが目立ってしまうという状況では、ますます読む人を遠ざけてしまうのではないかと危惧してしまうのである。実際、私も「SFが読みたい!」などを参考にSF作品を購入しているのだが、買ってもその長さから読むのに尻込みしてしまい、積読のままとなっている作品が多い。年に300冊くらいの本を読んでいる私がそう思うのだから、普通の人であれば当然買うのにも尻ごみしてしまうことであろう。さらには、そういった状況であれば、年内に出たSF作品を一通り読むということも、大概の人には無理というものであろう。
SFというジャンルは、本自体が読まれなくなっているなかで今後益々読まれなくなっていくということは、十分考えられることである。そうしたなかで、さらにマニアックな長大化した作品が多くなってくるということは、そういった状況にさらに拍車をかけることとなるように思えるのである。私個人としては、SF初心者や一般の読者にも楽しめる長編SF作品というものが必要なのではないかと感じられるのである。そういった部分を各種アンソロジーなどの短編が担っているとも言えなくはないのだが、SF長編作品に関しても、そうした優しさというものが見られてもよいのではないかと考えてしまうのである。
2011年2月12日 今年もまた貴志氏の本が
週末に購入した作品
「SFが読みたい! 2011年版」 SFマガジン編集部編(早川書房)
「ダークゾーン」 貴志祐介(祥伝社)
昨年、「悪の教典」が出たばかりなので、これは新刊は数年出ないだろうなぁと思いきや、2011年早々に出ることになろうとは!!
内容は軍艦島を舞台に、地獄のバトルが繰り広げられるというものらしい。昨年の「悪の教典」もまさに“地獄絵図”が描かれた作品であったが、果たして今作ではどんな“地獄絵図”が描かれることになろうか。
2011年2月9日 どちらを選ぶか
本日の購入本
「短 劇」 坂木司(光文社文庫)
「ときめき砂絵/いなずま砂絵 なめくじ長屋捕物さわぎ5」 都筑道夫(光文社文庫)
今日は光文社文庫の発売日。当初は、黒川氏の文庫落ちの作品「蜘蛛の糸」を買おうかと思っていたのだが、短編作品で内容にもあまり惹かれなかったので購入は控えた。
反対に買うつもりのなかった坂木氏の「短劇」。短編というよりは、ショートショートに近いようで、なんとなく読みやすそうな気がして、こちらを購入。
2011年2月5日 北森鴻×ジュブナイル
本日の購入本
「ちあき電脳探偵社」 北森鴻(PHP文芸文庫)
この作品は北森氏のジュブナイル・ミステリ短編集を収めた作品。これら作品が発表されたのはデビューしてすぐのことで、1996年4月から1997年3月まで小学館の「小学三年生」に1年をとおして掲載されたもの。1冊の本としてまとめられたのはこれが初のようである。北森氏を語る上でも貴重な作品であることは間違いないであろう。
2011年2月4日 カエル男
本日の購入本
「ヒプノスの回廊 グイン・サーガ外伝22」 栗本薫(ハヤカワ文庫)
「連続殺人鬼カエル男」 中山七里(宝島文庫)
「探偵Xからの挑戦状! season2」 アンソロジー(小学館文庫)
「ヒプノスの回廊」はグイン・サーガ、最後の外伝作品。これで本当にこのシリーズを読むのが終わりというのは惜しいこと。
「さよならドビュッシー」でおなじみ(?)の中山氏の最新作は宝島文庫から。今作は今までの作風とは異なり、サイコサスペンスとのこと。
「探偵Xから挑戦状」は2冊目となったのだが・・・・・・薄っ! もうちょっとがんばって作家陣を集めることはできなかったのだろうか。