昨年読んだ「マルドゥック・ベロシティ」に続き、冲方丁氏の「オイレンシュピーゲル」を読了し「スプライトシュピーゲル」を現在読書中。「ベロシティ」を読んで以来感じることは、冲方氏が“エルロイ”化しつつあるなぁ、ということ。
スラッシュで切り分けるぶつ切りの言葉使い、ハードボイルド・チックな雰囲気、複雑なプロット、そしてダーティなイメージをかもし出しつつアクションSFを展開させている。これらの雰囲気は「シュピーゲル」シリーズになっても変わりなく続けられている。ただし、「シュピーゲル」のほうは、出版社が富士見ファンタジー文庫、角川スニーカー文庫というライトノベル作品ということもあって“エルロイ”調もいささか和らいではいる。とはいえ、ライトノベルであるにもかかわらず、取っ付きにくく感じられるような硬さや構成の複雑さが、そこここに見受けられるように書かれている。
とりあえず、これこそが冲方丁氏が「マルドゥック・スクランブル」以後に見出した、もしくは身に付けた作調というものなのであろう。ただ、その作調は良しとしても、現在の「シュピーゲル」シリーズに一言付け加えるとするならば、各キャラクターに設定されたトラウマ合戦についてはいささか食傷気味である。
H・R: ひな祭り、フゥーーー
ugnol:・・・・・・まぁ、自分には全然関係のない行事だけど
H・R: ugnolさん、早くも3月になりましたよ
ugnol:そうだねぇ、歳をとると時間が経つのが早くなるねぇ
H・R: そんな達観してないで、今月の注目作品をいっちゃってくださいよ
ugnol:今月の注目作と言えば、なんといっても理論社からの新レーベル、“ミステリーYA!”だろう
H・R: また、新しい企画が始まりましたね! ugnolさんの注目作品は何ですか?
ugnol:うーん・・・・・
H・R: あれ? どうしたんですか??
ugnol:いやぁー、それが注目作品がないんだよねぇ
H・R: えぇーーー、そんな!
ugnol:3月のラインナップも折原一氏、篠田真由美氏、山田正紀氏、と微妙なメンツなんだよね
H・R: うーーん、そうかなぁ
ugnol:理論社のHPに行くと、今後のラインナップの予定が来年までたてられているんだけど、
注目作家というよりは、あまり興味のない作家やもう読まなくなった作家が多いんだよね
H・R: 本格ミステリの路線からは若干外れているわけですか
ugnol:そんなわけで、好きな作家の作品が出たときだけ買う、という感じでいこうと思っている
H・R: まぁ、様子見というところですかね
ugnol:それ以外では角川ホラー文庫から小林泰三の「忌 憶」
H・R: 一年ぶりの新刊ですね
ugnol:光文社文庫からは二階堂黎人氏編集、「新・本格推理07」
H・R: もはや毎年恒例、どんな新人が飛び出すか期待大!
ugnol:そして新潮文庫からトマス・ハリスの「ハンニバル・ライジング」
H・R: いい加減、レクター博士でひきずるのも・・・・・と思いつつ、読んでみたい一冊
2007年03月01日 2月分は全て購入
本日の購入本
「毒 魔」 G・M・フォード(新潮文庫)
「片眼の猿」 道尾秀介(新潮社)
「ハルさん」 藤野恵美(東京創元社:ミステリ・フロンティア)
「バビロニア・ウェーブ」 堀晃(創元SF文庫)
元記者で、現在は作家をしているコーソという主人公が活躍するシリーズ第4弾が「毒魔」。なんと116名の大量毒殺事件を描いたサスペンス作品とのこと。これは読むのが楽しみだ。
昨年ブレイクした道尾氏の今年最初に刊行された本がこの「片眼の猿」。なんでも特殊な能力を持つ私立探偵が活躍する内容であるとのこと。これも早めに読んでおきたい本。
ミステリ・フロンティアの最新刊は「ハルさん」という連作短編集。ミステリを用いて娘の成長を描いた作品らしい。どんな内容なのか、想像がつかない・・・・・・ということで、これも早めに読んでみよう。
最後の一冊は1988年に徳間書店から出版された本の初の文庫化。今後、創元社ではこういう日本のうもれたSFを文庫で出版していくとの事。これはまた読む暇もないくらい買わなければならなくなりそうだ。