死体を買う男


白骨鬼(第一回)
 作家・江戸川乱歩は、紀州白浜の断崖で自殺の欲求にかられている所を塚本直という青年によって助けられる。そして乱歩が泊まった旅館に当の塚本が宿泊していると言うのだが、彼はそこで奇妙な行動をとるというのだ。旅館の女中からは“月恋病”の患者といわれる彼は、夜になると女装して月を見て泣いているというのだ。


第一章
 作家・細見辰時は、その江戸川乱歩のものかと思われる作品を見てうなった。これは一体・・・・・・。編集者に問い合わせると、これは江戸川乱歩の発掘小説と思わせた新人の小説とのことだった。そして、その作者は細見のファンで彼に会いたいと・・・・・・


白骨鬼(第一回 承前)
 ある夜、乱歩は女中から塚本が自殺したと聞かされる。現場へ行くと、警察と発見者の屋台の親父がいた。屋台の親父は、その日は強風で屋台が飛ばされないように縄で屋台を縛っていたという。しかしその縄の一部が無くなっていて、悪戦苦闘するはめになったと。また彼は先ほど見かけた人影が戻ってこないことが気になり、崖のほうへと行くことにした。するとそこで松の木にぶら下がる首吊り死体を発見したと言う。しかし彼が慌てて駐在を呼んで戻ってくると、死体は消えていたのだった! ただ、確かに現場には縄の切れ端や遺書などが残っていた。結局警察は、首吊り自殺をした後、死体は強風にあおられて崖下へ落ちていったと推測する。
 あくる日、乱歩は塚本青年が泊まっていた離れに人の気配がするので行ってみると、そこには金満紳士と貧乏青年といった外見の者を見ることに。しかもその貧乏青年は乱歩を助け、自殺したはずの塚本直ではないか!? 喜んで彼に話しかけてみると、なんと彼は直の双子の弟で均と名前であるという。そして一方の金満紳士は父親であると・・・・・・


第二章
 細見のもとに新人作家の西崎和哉がやって来た。彼に「白骨鬼」のことを聞くと、警察官であった祖父のノートを元に小説として書き直したものであると言う。


白骨鬼(第二回)
 乱歩は直の死に不信を抱き、友人の萩原朔太郎と捜査を始める。そして塚本直の知り合いという北川雪枝の話を聞くことに。彼女は直の方を好いていたのだが強引であった均に迫られ、そして彼にも惹かれはじめて均と付き合うようになっていったと言う。均は優秀な兄と違い、昔から不良仲間と付き合い、ぐれていったという。その後も、いったんは東京の学校に入るも、ろくに学校には出ずにきたない身なりをして家でごろごろしているだけだという。また均はその頃奇妙な振る舞いをし始め、天井裏に登ったり、拳闘のまねごとをしてみたりと周囲を戸惑わせていたという。しかし、直が死んだ今ではすっかりおとなしくなったのだという。また、直が旅館で女装していた着物は雪枝が直に請われて渡したものだということを知らされる。
 乱歩と朔太郎は事件を調べていくうちに、直が本当に自殺したのか怪しみ始めることに。


第三章
 細見は西崎の自宅へと訪ねてゆく。そこで細見は西崎に「白骨鬼」の原稿についてある提案をするのだが・・・・・・


白骨鬼(最終回)
 乱歩と朔太郎は直が生きているのではと仮説をたてたものの、直の白骨死体が海から上がったとの報告を受ける。肉付け作業などがら警察はその白骨死体を直のものと断定する。
 朔太郎はこの事件で別の解釈をとなえ、塚本家の主治医の元へと急ぐが、その主治医は心臓麻痺で亡くなったばかりだという。
 果たしてこの一連の事件の謎はいったい何を・・・・・・


第四章
 西崎は「白骨鬼」に関わる真相を彼に告げたとき、細見は自分自身のある決意を告げることに・・・・・・


白骨鬼(楽屋噺)


終章



内容・感想へ戻る