<内容>
西暦1997年、東洋の全体主義国家、大東亜共和国。この国では毎年、全国の中学3年生を対象に任意の50クラスを選び、国防上必要な戦闘シミュレーションと称する殺人ゲーム”プログラム”を行っていた。ゲームはクラスごとに実施、生徒達は与えられた武器で互いに殺し合い、最後に残った一人だけは家に帰ることができる。
香川県城岩町立城岩中学校3年B組の七原秋也ら生徒42人は、夜のうちに修学旅行のバスごと政府に拉致され、高松市沖の小さな島に連行された。催眠ガスによる眠りから覚めた秋也たちに、坂持金発と名乗る政府の役人が、”プログラム”の開始を告げる。
ゲームの中に投げ込まれた少年、少女たちは、さまざまに行動する。殺す者、殺せない者、自殺を図る者、狂う者。仲間をつくる者、孤独になる者。信じることができない者、なお信じようとする者。愛する気持ちと不信の交錯、そして流血・・・・・・
<感想>
40人あまりの生徒がデス・ゲームを繰り広げて行くわけなのだが、登場人物が多いわりにはあまり混乱することなく読み進めることができる。やたら、残酷な部分だけが強調されているかのように思われがちの本書だが、全編読了してみるとそういうわけでもない。近未来SFとミステリー的な要素が組み合わさり、なかなかのエンターテイメント小説だと思う。結末も全体のしめくくりとして、うまく締められており、ある意味爽やかささえ感じられるものとなっている。