鮫島は最近活発になってきた高級車盗難事件をあつかっていた。警察には車道を走る車を監視するために“Nシステム”というのがあるのだが、犯人らがこのシステムに引っ掛からないことから、おおががりな窃盗グループであると推測する。鮫島は“Nシステム”が拝眉されていない地区を洗い出し、車の洗い場、つまり盗難車の車両の色を変えたりナンバーを変えたりする一時的な保管場所の検討をいくつかつける。そしてその一つの場所を選び出し張り込みを開始することにした。付近の聞き込みをするなか彼は駐車場の管理人をしている大江という老人と出会うことに・・・・・・
昔、鮫島と関わったことのあるヤクザで真壁という男が出所してきた。真壁は刑務所に入る前からつきあっていた、水商売をしている女雪絵と共に暮らしはじめる。また、本業であるヤクザの仕事では刑務所帰りということもあり、考慮され楽な仕事を任されている。彼は以前、組の鉄砲玉として中国人グループに単身乗り込み、その親玉を射殺してきた。そしてその事により刑務所に入っていた。彼はその功により組から優遇されるものの、刑務所に入っている間に時代が代わりある種の疎外感を感じる。
鮫島は大江の配慮によって彼が管理している駐車場から、洗い場の張り込みをする。張り込みの中で大江と話すことにより、彼が警察官であった事を知る。そしてある日、洗い場に何か不穏な雰囲気を感じた鮫島は単身、洗い場に潜入することに・・・・・・。そして彼はその敷地内の井戸で死蝋化した死体を発見する。その死体は何十年も昔のものと思われた・・・・・・
真壁の弟分の矢崎は現在、組の中の稼ぎ頭であり、重宝されている。彼は中国人マフィアと組んで自動車の窃盗で金を稼いでいた。しかし、その中国人マフィアは真壁が昔乗り込んでいったグループの者たちで、偶然それを知った真壁は不穏なものを感じる。また、真壁は雪絵と共に雪絵の母に会いに行き、一緒になりたいことを告げるが、態度により拒否される。雪絵の母親もずっと水商売をしてきた女であり、ヤクザと一緒になることの苦労を知っていたのだ。また、雪絵の母親にはとある秘密があった。過去に殺人を犯したことがあるという秘密。そしてその事を彼女は雪絵に告げる。
鮫島は大江から過去の話しを聞く。大江は過去、泥酔したときに拳銃を奪われたという罪で警察を退職した。しかも大江はその拳銃が誰に奪われ何に使われたかを知っていたのだ。しかし、そのことが明るみに出たら警察全体に迷惑をかけるということと、その拳銃を奪ったものをかばいたいという気持ちから、彼は独り秘密を胸の中にしまい込む。そしてその死体が見つからないことを祈り、その死体の隠されている場所の前で何年も時を過ごしてきたのであった。
鮫島は捜査により、車両窃盗グループの背後にいる黒幕の存在を突き止める。それはとある中国マフィアと真壁が所属している組であった。そして、ある日その組で車両窃盗を指揮していた矢崎がとあるチンピラに銃で撃たれ重態になる。そして組では矢崎の仕事を真壁にまかせるのであった。かくして真壁とその中国人マフィアの者が顔を会わせることに・・・・・・
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