「虫卵の配列」 (オール讀物1996年7月号)
出版社に勤めている森崎は一年前に取材したことのある瑞恵に出会う。彼女は中学校で生物の教師をしていて、取材によって知り合うことになったのだが、突然退職したということを森崎は聞いていてた。
彼女と久しぶりに話をして森崎は自分の失恋の話をし、また瑞恵の恋の話を聞く。瑞恵は森崎にアドバイスをしつつも自分が教師をやめることになった恋愛について語るのであったが・・・・・・
「羊歯の庭」 (オール讀物1997年1月号)
地方で家庭を築き、書店を営む順平は今の生活に不満を抱きつつ、日本画家の世界に夢を見る。そんなある日、昔つきあっていた女性とばったり会うことになる。彼女とは趣味も合い、彼女と暮らすことで今の生活から抜け出そうと順平は計画をたてるが・・・・・・
「ジェイソン」 (小説現代1996年10月号)
三十歳になり自分が酒乱であることに気づき、苦悩する男の様を描いた一作。
「月下の楽園」 (小説すばる1994年1月号)
荒廃した庭に異常に惹かれる男は、さる没落したと思われる屋敷の離れに部屋を借りる。しかし当の目的の庭とは壁によって隔たりがあり、庭を眺めることができない。しかし引っ越してきた日、彼は防空壕跡の穴を見つけ、そこから庭へと入ることのできる道を作り、庭への侵入を可能にする。その日から夜になると荒廃した庭を眺める、男の生活が始まった。
「ネオン」 (小説現代1997年8月号)
桜井は自分で組を作り、こまめにカスリを取り、シマを広げつつある。そんなある日、奇妙な男に出会う。「仁義なき戦い」の映画を見てヤクザを夢見る、島尻という男。桜井はこの男に興味を抱き自分の組に入れることにするのだが・・・・・・
「錆びる心」 (オール讀物1997年7月号 ハウスワイフ:改題)
気軽に始めた浮気がばれ、夫からこの市から一歩も外に出ることを許さず、月十万の金でやりくりしろといわれた絹子。彼女は十年間その生活に耐えぬき、100万ためた金を持ち家出をする。
そして主婦業を生かした職に就こうと職を探す。そしてとある没落した屋敷で住み込みの家政婦をすることに、彼女はそこで働きながら生きがいを感じてゆくと共に・・・・・・
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