<内容>
戦後の日本で探偵事務所を開く、元GIの私立探偵バーンズ・バニオン。バニオンは新聞発行人のラケッツから奇妙な依頼を受ける。ラケッツは何者かから脅迫状のようなものを送られ、不思議な指令のような内容を新聞に掲載しろと脅されているという。そして、バニオンにその指令に書かれた通りの行動をしてもらいたいというのである。金につられて仕事を引き受けたラケッツであったが、とんでもない陰謀に巻き込まれることとなり・・・・・・
<感想>
内容云々よりも、この作品の背景のほうが興味深い。本書はアール・ノーマンが描く、全9冊からなる“Kill Me シリーズ”の最終作にあたる。日本ではバカミスのミステリガイドなどで紹介されたこともあるが、翻訳は初めての事らしい。ミステリというか娯楽小説でありつつ、観光小説的な側面も合わせ持つ。
本書を読んでも感じることだが、とにかく変わった展開、変わった内容。最初は、落ち着きがなく物語が始まり、探偵のバニオンがあっちにいってはいざこざをお越し、こっちにいってはいざこざに巻き込まれということを繰り返す。それがいつしか、大きな陰謀に関わることとなり、思いもよらない結末を迎えることとなる。これは、他のシリーズ作品でも同様の展開らしい。
なんともハードボイルドとしても、大雑把な内容という印象を受けるのだが、意外と時事ネタを取り込んでいたりと、きちんとしたサスペンスミステリを展開しようという思い入れも感じられてしまう。ただ、一般的に受ける作品かというと、ちょっと・・・・・・という感じである。やはり、その時代に読まれるべき作品ではないかと。今喜んで手に取るのは、よっぽどマニアックな人くらいではなかろうか。
<内容>
トニー・ウェンディスは多額の遺産を得るために、自分の妻であるマーゴの殺害を計画する。トニーは完全犯罪を成し遂げるために、レズゲイト大尉という男を脅し、彼に妻を殺害させようと企てる。そして計画が実行されようとしたとき・・・・・・
<感想>
戯曲作品ということで、台本調になっていて、しかもページ数が薄めなので気軽に読めるサスペンスミステリとなっている(値段的には手ごろではないが)。
短めの作品ながら、読みどころ見どころ満載。妻を殺害しようとする夫の計画と、実行犯との取引。そして計画の実行からの思わぬ展開。さらには、最終的に犯人がどのようにして捕らえられるのか。
これは戯曲であるゆえに、映像で見るのが一番良いのであろうと読んでいて痛感させられる。特に最後の犯人逮捕の場面は必見!