私の日記です

■かもが鳴く
■かもが鳴く
 町屋の入り口である新橋から新建川左岸を下流に向かって歩く。
ここから下流は、カモが100羽近く集まって泳いでいる。
ゆったりしているカモの楽園である。

 新建川は川底には砂が積もった川であって子供のころは水遊びした川である。
しかし、台風シーズンには、大水を排水できる容量はなく洪水が頻繁に発生して
いた。このため、改修が急ピッチで進み、下流で船川というもう一本の川と
一緒になったので、町を過ぎたあたりから川幅は徐々にひろがりカモが集う
あたりは幅50mはあろうかと思われる。
 このようなことから、川は昔の面影は全くない。

 カモは人影などをみると、すーと遠ざかっていく慎重な鳥だ。
 どうも最低50mくらいは距離を確保しないと安心できないようだ。

 そこで今回は、土手下の道から近づき、カモの集団がいる近くで、土手上に
でた。すぐに、まず十羽くらいのカモが、一斉に向こう岸の方に泳ぎ始めた。
間髪をいれず、「ピヨピヨ」と甲高い声があちこちでした。
 このの音は川面の上空でとび回っているすずめの鳴き声かと見上げたが、
どうも音の方向が違う。音も大きく、すこし高い音域なのだ。

 耳をすませてその音の源を探ると、なんと川面にいるカモからではないか。
カモの一団が一斉にスイスイと声のする方に遠ざかってゆき、川面が大きく
波打っている。どうも、この声は、カモの警戒避難をよびかける声だったようだ。

 下流の橋を渡り国道9号線沿いの歩道(川の右岸を構成している)を帰って
いった。支流の川幅の狭い河岸にいたカモは、今度は一斉に助走をはじめ、
滑空して本流の真中にでていった。

 ひとつ残されたカモは、急いで足を掻いているらしいが、飛ぶようには
移動できない。冷たい風が水面を波立たせてきらきらする中、一羽のカモの
つくる波頭が放物線を描いていた。

 とべないのだろうかとこの一羽が気になって注視した。
 一羽のコガモの向かう先から、「ピヨピヨ」と甲高い声が発せられている。
 川の合流点まできたこのカモは、羽根をばたつかせながら助走をはじめて
水面をばしゃばしゃあるきはじめた。仲間の集団のなかに飛び込んでいった。
 ほんの一刻の情景であった。
 この一羽のコガモが、飛んでくれたので、ほっとした。


<The voice of FOOH>
< 人が来て はやくはやくと カモが鳴く 取り残されし こがもが一羽 >
 
2002年02月02日 01時31分09秒


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