おや、助教授ったら友達いるじゃん。しかしまたしてもアリスと共通の。(そうでなきゃ物語が進まないか) 子ども好きな男性に弱い私には、かなりグラグラと心が揺らぐ作品でした。火村先生ってばツボつきまくりで卑怯者!! アリスの場合は真樹ちゃんと同レベルで遊んでる感じですね。子ども好きというより『子ども』(笑)。 「二十の扉」をやる2人のやりとりも非常に気になりました。「じゃあ—それは、生きていますか?」「いいえ」なんて、一体どんな答えなんだ!!と、単純な私はどきどきしてしまいました。もう、有栖川先生ったら。
 事件の真相は、火村の想像が真実ではないことを願わずにはいられません。
 …帰りに城崎温泉に寄ったのかしら?
「女の子か。なんて名前だったっけな?」
 真樹ちゃん。えーと、もう五つか」 (P8/P11)
 この会話を見てつくづく『この2人も年取ったな〜』と思いました。たとえサザエさん現象で年齢がストップしているとしても!こんな会話をしだしたら立派なおじさんです!! そんな私も立派なおばさんなのかしら(涙)。
「そんなガキがいるかよ」
 犯罪学者はキャメルを抜いてくわえる。狭い車内に煙を充満させて、私に意趣返しをしようとしているのだ。 (P9/P12)
「こんにちは、真樹ちゃん」
 火村と私はユニゾンで同時に挨拶を返す。スプーンを重ねたようにぴたりと一致していたのがおかしかったのか、少女は口許を押さえてうふふと笑った。  (P12/P16) 
 『せーの』と合わせなくてもぴったり合うようになった2人。随分と成長しました。練習の成果が出てますね。  
 子どもにまで笑われてます。
「日本では、男の人にアリスという名前をつけることもあるんだ」 (P13/P16)
 私も男の子を出産したらアリスって名づけるわっ!(でも苗字とのバランスは大事だね)  『男にアリス』に今までなんの違和感も持ってなかったってことは、アリスは名前負けしてないってことですね。可愛いから。
黒鳥亭殺人事件
 車内でいちゃいちゃすなー!! 直前の会話もなんかかゆくてもぞもぞしながら読んだのに、トドメを喰らった気分です。 『ボクは、フィールドワークとして(中略)名探偵の役を演じるんだ!』って、もしかして声色変えてしゃべったのかしら…?
テキスト:新潮エンターテイメント倶楽部SS('01.10)/
     新潮文庫('04.1)
「そう。どうして真似をしないんだろう、と考えるのと一緒に、啼けないのかもしれない、と考えなくっちゃね」
 火村は腰を折り、目の高さを真樹に合わせて話した。 (P15/P19)
 うひ〜。普段の火村先生からは想像できない〜〜〜。子どもの目の高さに合わせる人って素敵〜〜。この光景は是非麻々原さんの絵で見てみたい。 しかも『考えなくっちゃね』!! うひ〜〜!!!
「未来の有栖川有栖ファン候補だ」
 女嫌いだが、子供は嫌いではない火村が言う。 (P20/P26)
 何歳までが火村先生に笑顔をいただけるんでしょうか…? 『子どもは嫌いではない』ことをアリスが知っているってことは、2人でそんな話をしたことがあるのか? 『…子ども欲しいな(ボソリ)』『えっ!?』『いやっ、なんでもないっ』『…俺、男やから…』『違うんだ、アリスっ!!』とか。(ありません) 
「おじさんが読んでくれるよ。ご本を書いている人だから、読むのも上手だよ」
 火村が私の背中をどんと押した。 (P22/P28)
 火村先生ひどーい。「器用なのを見込んで頼む」なんて言われたら、お世辞だとわかっていても断れないじゃないのよ〜。 アリスはえらい。読み聞かせは読み手が楽しくないと聞き手も楽しくないものです。たとえ耳は火村たちの方に集中していても、子どもが傷つかないようにちゃんと読もうという心がけは素晴らしいと思います。男の人(お父さんとか)が読み聞かせしてる姿って好きvv
「おじさんもそう思う」
 見交わす少女と私の目に、連帯の光が宿った。 (P27/34)
 私も2人に賛成〜。真樹ちゃんていい子だな〜。アリスも一生懸命苦慮した甲斐があったってもんだ。 
 この作品の助教授は、真樹ちゃんのご利益で可愛い言葉を発するようになったようです。『ぽいする』なんて、うちの姪っ子(3歳)でも言わないぞー。
「アリス先生、真樹ちゃんと付き合ったご利益で頭が冴えてきたじゃないか。—可能性はあるぞ。死体と一緒にぽいしたのかもしれない(略)」 (P37/P46)
「あの子に訊いて…確かめるのか?」
 火村はまだ火を点けていなかった煙草を折り、私に投げつけた。
「馬鹿野郎。そんなことを訊くもんか!」 (P44/P56)
 大人には容赦ない火村先生も、子どもには慈愛の心を持っているのですね。万が一、助教授が想像しているのが真実だとしても、真樹ちゃんにはずっと真っ白のままでいてほしいものです。 天農さんには自分の想像を話したのでしょうか…?