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眠い………


男はそれだけのことを考えながら街を歩いていた
別になんの目的もある訳ではない
ただ眠いだけなのだ

「ふわぁ〜っ眠いっ!」
とまあこんな調子なのだ
ここで、金があるんなら
どっかに泊ればいいと思うが
この男の懐にそんな余裕はない

「ちぇっ、ついてないよな、まったく」
と、いうのもこの男は不覚にも賭け事に敗れ
1文無しになってしまった
よく、何処でも聞く話だ、

男の風貌は金髪のロングヘヤー
目はグリーンアイである
そして一番目に付くのが男の着ている
黒いレザーコートだ、
そして背中に背負っている灰色の包
まるでライフルが入っているような感じだった、
見るからに怪しい、

それはさて置き
仕方無く街をブラブラ歩いていると
レンガ造りの遊歩道に出た
しかしどこか騒がしい
見ると道の端に人だかりができていた

「なんだよ?一体?」
男は不思議に思った
物好きな面があるようだ
駆け寄ってみると男の罵声が聞こえてきた

「オイコラ!あんまり俺様をなめてっと痛い目食うぞ」
続いて女の子の声
「何よ!?単にちょっとぶつかっただけじゃない!」
気の強い声だが可愛い声だった

男は隣にいた青年に尋ねた
「何があったんだ?」
青年は眉の間にしわをよせて答えた
「図体のでかい男と小さい女の子がいがみあってるんだ、あのままだと女の子が、」
青年は男を警戒してるらしく男が背負っている灰色の包が気になるらしい

「そうか、」
そんな事など気にせず男は
人込みの中をかき分け入っていった


ようやく中に入れた、
先刻青年が言っていたとうり
そこには巨漢の男と
可愛げな少女が言い争っていた

「フン、口の減らないガキだな、親の顔が見てみたいぜ」

「なによ!ウドの大木!」
その言葉が巨漢を憤怒させたようだ
巨漢の腕が大きく振り上げられ
そして次の瞬間、地面に叩きつけられた
路上に細かなヒビが入るがそこに少女の姿は見えなかった

「なんだと!?あのガキどこへいきやがった?」
と、そこに先刻の青年が話し掛ける

「あの〜、」

「?、何だテメェは」

青年はびくっとしながらなおも続けた

「先程の娘さんの事なんですけど」
巨漢の男の顔の影が見る見るうちに濃くなっていく

「あいつか!あいつはどこへ行きやがった!」
青年の肩を揺さ振りながら巨漢は青年に問い詰めた

「あわわわ、あっちの、方に、
黒いコートを着た、男が連れ去って、いっていくのを
見ました、」
揺さ振られながら青年は街道の先を指差した

その事を知った巨漢の男は青年を突き放し彼の指差した方向に走り出した

激しく揺さ振られたので青年はすっかり目を回し
あえなくその場に倒れた