この世界の果てまで

第6章

しかし今度は牢屋ではなく、ごく普通の応接間だった。

「僕の疑いは晴れたみたいですね」

「いやまだだ。おまえのこれからの行動できめる。まずは俺の名前はベルク=フィルベルだ。おまえは何て名だ」

「僕はデニム——デニム=B=フォルクスです。」

「まずはここの歴史から説明する。おまえガルメキア帝国ぐらいは知ってるだろう」

「ええ。たしか100年ぐらい前まで、魔界以外の大陸を統一していた。と聞いたことはあります」

「そう。滅んだのがガルメキア暦509年、そしてガルメキア400年記念に"対魔界用戦略兵器工場"としてこのムスタが計画された。当時の技術は今よりも凄かったが簡単に作れるものではなく、莫大な予算を投じられ、100年計画で建てられた物だ。だが、もう少しで完成を迎えるところで内乱が勃発。そして今のような世界になったわけだが、内乱の理由がムスタだったんだ。魔界と大戦するために作られた武器が完成して、魔界がなくなるのはいい。が、もし大戦が終わって、その武器の矛先が自分に向けられたらっと思ったんだろう。」

ベルクはいったん話を止めた。

「なんかすごい話ですね。でもなんで今ムスタは存在してるんですか。普通は壊すんじゃないんですか」

「そう。その内乱では最初、ムスタは攻撃を受けなかった。多分、自分がその武器を利用したいが為に、ムスタの領土は欲しいが壊れてもらうのは困るってやつさ。内乱が始まって3年たった時、ついに完成した。しかし作った機械士たちはそれが、魔界以外の戦争で使われるのを恐れて、自衛したんだ。俺たちはその自衛した機械士の子孫さ。」

「へ〜。で、僕に何をして欲しいのですか。さっき爆発って言ってたけど……」

「爆発したのはスィンクだ」

僕は何を言ってるのかわからなかった。

「……スィンク……さん—————そんなに恐い人なんですか」

ベルクは一瞬わからない顔をして笑い出した。

「えっ……違うんですか」

「あ〜悪い悪い。お前はここのやつらじゃなかったんだな。スィンクって言うのはここの5番炉だ」

「炉ってあの大きな建物ですか」

ベルクはうなずいた。

「そう。このムスタは、6つの炉で成り立っている。1番炉ゼール、2番炉ウン、3番炉トレース、4番炉クワトル、5番炉スィンク、6番炉セィス。それぞれが大戦に必要なものを生み出してくれる。ゼ—ルとウンは兵器の材料となる金属。トレースとクワトルは銃器。セィスは人型の機械———おまえも会っただろう。あのぶつかったやつだ。」

「あれが……じゃあスィンクは何を作ってるんですか」

「スィンクは他の5つと違って、食料を作ってるんだ。他のは普段必要がないから、炉を止めているんだが、スィンクはもう100年近く動いている———いや、いただな。俺らは簡単な修理はできるんだが、あれだけ壊れるとさすがに修理ができない。しかし、運のいいことに、スィンクのエネルギーパックは壊れてなかった。それに、ゼ—ルからセィスまで基本的な構造は変わらないんだ。そして、エネルギーパックさえ変えれば、代用が可能みたいなんだ。これは魔界からの攻撃を受けたときに、いつでも変えられるように設計されてるみたいだ。だから、残った5つの中で、最もいらないというより必要のない6番炉セィスに移そうと思ってるんだ」

「じゃあ、僕に何ができるというんですか」

「壊れたスィンクからは簡単にエネルギーパックが取れたんだが、セィスからは取り出せないんだ。まだ停止しかしてないから、炉心は高温になっていて、近づくことができない。そこでお前に作って欲しい物がある」

... to be continued.

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