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No.18 2003/6/29 TIME June 23,2003 |
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皆さん、今週1週間如何でしたか? 僕は梅雨のせいか疲れが溜まり、気力がなくなって来ました。鰻でも食べて、この気だるさを早く取り除きたいものですね。皆さんはどうですか?
さて、今週の週刊誌TIME asiaの特集は、皆さん御存じのハリー・ポッターでした。表紙のタイトルは、『Why
Harry Potter rules』というものです。意訳すると、『何故、ハリー・ポッターが、力を勝ち得たか』というものでした。そして、特集記事のタイトルは『The
Real Magic of Harry Potter』となっています。僕がこのコラムを書くよりは、ハリー・ポッター通の熱烈なファンの方に、僕に代わって、どうしてハリー・ポッターは、こんなにも物凄い世界的なベストセラーになったのか、書いてもらった方が、的を得たものが書ける、と思います。
正直な話、僕の英語能力でTIME magazineは読めても、ハリー・ポッターの原書をTIMEと同じレベルでは読めません。お恥ずかしい話ですが。ハリー・ポッターは、勿論、児童文学の分野で、英語圏の子供達なら小学生でも難なく読める、と思うのですが、僕には無理です。その理由は、僕の知らない日常的な単語((
例えばwand やsorceress))と言ったものが、次々と出て来ますし、また、子供ならではの、端折った会話が出て来て、結構、てこずります。だから、ハリー・ポッターの原書をスラスラ読めた、という人を尊敬してしまいます。ひょっとしたら、こう思っているのは、僕だけではないのではないか?
とも思うのですか。如何でしょうか?
さてさて、本題に入ります。まず、今週の週刊誌タイムの特集を一読して感じた事は、作者であるJ.K.Rowlingという女性の人となりに感じ入りましたし、日本人である僕には想像も出来なかった宗教上の論争とまでは行かないまでも、論議という言葉を使った方が良い、と思われる論議がある、というものでした。また、同様に読者である子供達にとって、ハリー・ポッターの物語の中に自分達の日常を見ている、という個所でした。僕は宗教家でもなければ、児童心理学を勉強した事もないので、専門的な事は書けないのですが、矢張り英語圏という世界には、キリスト教の宗教感が深く、また、幾派にも分岐して、存在し、それぞれ全く異なった教義、解釈を持っている、という事実を、この特集を読んで感じました。仏教にも、様々な宗派がありますが、これ程の見解の相違はないのではないか、と僕は思います。
現在の世界紛争の多くは、宗教問題に端を発している、と多くの人達は考えている、と思うのですが、ハリー・ポッターというベストセラーの中にさえ、この問題が潜んでいる、という訳です。子供達は、そんな事にはお構いなく、ハリー・ポッターを楽しんでいる訳ですが、ハリー・ポッターは魔術の世界を描いていて、健全でない。という識者もいれば、ハリー・ポッターを児童推薦書として挙げているカトリック教の宗派もあるのです。きっと作者J.K.Rowlingは、そんな議論には関係なく、ハリー・ポッターの世界を書き綴っているのでしょうが、世界中で2億冊も売れているとなると、作者の意図とは関係ない世界で、ああでもない、こうでもない、という論議が湧き起こります。こうした現象は、古今東西に文明が生まれた頃から、現在に至るまでの永きにわたる人類の特性かも知れませんが、その事が良い方向に向かえば良いのですが、間違えば議論が飛躍し、紛争に刷り返られます。
それにしても、ハリー・ポッターがこうまで読まれている、という現象は、人類の集団的な潜在意識の中に、ひょっとしたら文明の過渡期を迎え、今までは陰に隠れていた『wizardry』や『witchcraft』という『magical』なものへの憧れが、出て来たのかも知れませんね。ハリー・ポッターを読んだ子供達が大人になった時、どんな文明へと向うのでしょうか?
僕がハリー・ポッターの第1作の映画の中で、一番気に入っているシーンは、Hogwarts School行きのHogwarts Express列車が出る9と4/3番線へ、ハリー・ポッター達が消え入って行くシーンでしたし、また、『面白い!!』と思った言葉は、『The
minister of Magic』という言葉でした。イギリスには、そんな役所があってもおかしくないような気がします。
さて、最後になりますが、今週のTIMEを読んで思った事は、沢山あるのですが、その中のひとつは、『Hostage
of the state』というタイトの中国の国内問題の記事でした。この記事は、地方から職を求めて出て来た人達を強制的に拘留して、中には激しく殴られて殺された学生もいる、というものです。10億人の人口を抱えた中国は、最近とみに地方と都市の収入格差が広がり、職を求めて人々が主要都市に集まり、人々を強制拘留している、という記事です。中国という国は、これからこの収入格差を巡り、ひょっとしたら深刻な国内問題を引き起こすのではないか?
と僕には思えます。おそらく近い中に、TIME(asia)の特集として取り上げられるのではないでしょうか? また、その時にこのコラムで詳しく紹介します。
追伸 今週のタイムの最後のページに、Richard Corlissという人が、最近84歳で亡くなったアメリカの男優、グレゴリ‐・ペックさんの事をコラムに書いています。タイトルは『The
American as Noble Man』というものです。味わい深いコラムです。是非、読んでみて下さい。僕はグレゴリ‐・ペックさんが好きでした。御冥福をお祈りします。
お元気で、また、来週!!
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