自己同一化

表面に輝くもの
君がまだ小さい時のお話です。

君はいつも真っ青な空仰いで
空飛ぶことに憧れていたね。

やっと手に入れた翼、
いためて飛ぶことが出来なくなって
君はずっと泣いていたね。
毎晩泣いては、一体何に対して
悔やんでいた?
恨んでいた?
悲しんでいた?

いつも僕は君の心の叫びを聞きながら何もして
やることが出来なかった。

何故泣いているのか、その理由を知っていたから、
だから僕もとても辛くて
その悲しみに何度溺れそうになったことだろう…。




神様は残酷で、
君を二度と飛べないようにしてしまったんだ。

けれど、その瞬間から君は泣くのをやめたね。
そして、
君が何かを探し続けながら歩き出した瞬間を
僕は見たんだ。

神様は残酷で、
君に手を貸してなんかくれない。
翼を奪って、自分で歩けと仰った。

君はそれからどれくらい歩いただろうか。
君にいま、
そっと名前を呼んであげたい。
けれど、きっと君は振り向かずに歩いていくのだろうか。

君がまだ小さい頃のお話です。
神様は、君から翼を奪った。

けれど、君は、今、
自分の力で、自分の向かうべき場所に
歩いていくんだね。

そんな君を、ちょっとだけ褒め称えたいと思う。
だって、僕も、君とずっと一緒にこの空を仰いでは
空飛ぶこと憧れたモノの一人だったから。





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