はかない、けれど

   

ひとひら、ひとひらの雪は

はかなく軽くすぐに消えてしまうけれど

降り積もった雪は

屋根をも突き破る

    

その時、その時の言葉は

その場限りで忘れ去られるのかもしれないけれど

蓄積された思い出は

心をも突きくずす

    

気づいたら、そんな風に積もっていた

あなたの言葉

   

   ◆  

   

   

あなたの手のひらは温かすぎて

私の凍えた気持ちは

舞い落ちたその刹那、とけて消えてしまいます

言葉にできずに消えた思いたちは

私のほほをつたう涙のように

流れて消えていくのです

ただ脆弱に降り注ぎながら

けっして積もることはない都会の雪のような

あなたの心には残らない私のかけら

    

それでもなお私はあなたの熱にあこがれる

私の冷気に気づきそうもない

雪の白さを疑わないあなたの温度に

私がとけてしまえばいいと思うのです

   

   

   

樹崎さんのBlue on Blueに投稿させていただいたものです。

   

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