「ちいちゃんのかげおくり」


作者・出典・原作との関連

作者 あまんきみこ

    1931年、旧満州撫順市に生まれる。
    結婚後、日本女子大学児童学科(通信)に入学。
    与田準一との出会いが童話の世界へと入る契機となる。
    卒業後「びわの実学校」を舞台に活躍し、現在に至る。
    著書に「車のいろは空のいろ」「おにたのぼうし」など多数ある。

出典 「ちいちゃんのかげおくり」 あかね書房

原作との関連
    「かげおくり」という言葉は、影法師を空に送る遊びを
    作品にしようと思った作者が生んだもの。
    もともと「かげおくり」で遊ぶ女の子、3代の話でそれぞれの
    時代を背景に書こうと思っていたが、
    結局「ちいちゃんのかげおくり」のみが出版されることとなった。

    作者自身が戦争を体験していることから、もう二度と戦争が
    起こらないようにと願って書かれた。

題材構成

(1)主題

 父の出征の前日、ちいちゃんは家族と一緒に
 「かげおくり」(影法師をそらに送る遊び)をする。
 これが一家そろっての最初で最後のかげおくりになり
 家族そろっての最後の日になろうとは夢にも思わず、
 無邪気に喜ぶちいちゃんであった。

 しかし、戦争はちいちゃんから愛する家族を奪い、
 ついにはちいちゃんの命までも奪ってしまう。
 消え入ろうとする命のともし火の中で、
 ちいちゃんは1人で「かげおくり」をし、
 強い絆で結ばれた「家族一緒のかげおくり」を見た。
 永遠の平和を願う心の象徴がここにはある。

(2)全体構成

全話P44 L3〜L5「かげおくりって遊びをちいちゃんに教えてくれたのは、 お父さんでした。」
第1場面P44 L6〜P49 L3 「出征する前の日〜とても怖い所に変わりました。」
・家族と「かげおくり」をしたちいちゃん
第2場面P50 L1〜P53 L2「夏のはじめの夜〜たくさんの人たちの中でねむりました。」
・お母さんとはぐれて一人ぼっちになった、ちいちゃん
第3場面P53 L3〜P55 L8「朝になりました。〜ぼう空ごうの中で眠りました。」
・壊れかかったぼう空ごうのなかで眠った、ちいちゃん
第4場面P55 L9〜P59 L3「明るい光が顔に当たって〜空に消えました。」
・1人でかげおくりをした、ちいちゃん
後話P59 L4〜L12「それから何十年。〜遊んでいます。」
・ちいちゃんくらいの子どもたちが、きらきら笑い声をあげて遊んでいる話


何を学ばせたいか

この教材の目標である「場面の様子に気をつけて」を重視すべく、場面ごとに整理(要約指導)する。
また、この作品のモチーフが何であるかを全授業の最後に考え、学ばせたい。



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