NO'2TALK to About HER.

 

私とこの男性の関係って何でしょう。ショウ子ちゃんは脈絡も無く考えます。

多分世の中に出回る、人が定めた価値を持つ紙切れの仕業です。

少なくとも私は、アレの為に此処でこんな事をしているに違い無いわ。

でもそんな事はどうだって良い。ショウ子ちゃんは自分に言い聞かせます。

彼女はこの男性の元を去っても良い時が来る迄、温和に楽しく喋り続けなければならない様です。

この時間にこの場所で彼女に与えられた仕事は其れだけ。

至極女らしい上目の使い方、話し方を装い、

幼少から既に彼女のスタイルと化してしまった猫背も、背筋を余分に使って伸ばさなければなりません。

彼女は努力するけれど、此れが一番難しい。

ともすれば意志とは別の場所で曲がってゆく背骨を、何度も何度も思い返しては意識しながら、

習慣性という物の恐ろしさを実感しています。

こーゆうのが育ちの違いってか。

ショウ子ちゃんの背筋が引き攣っています。背骨が、早く曲がりたいと悲鳴をあげる。

それでも彼女は微笑しています。何だかシュールです。

足の付け根迄切り開かれた、スリットと呼んでしまうには余りにも存在感のあるスカートから、

下着が見えていないかを気にしているようです。何度も座り方を変えている。

薄暗い照明の下、青白く浮かび上がる足が、

彼女に此処が雌を売る場所なのだという事を思い出させます。

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