花 親愛なる花

友の顔を
閉じたまぶたの裏側に
思い描いてみる

やさしく 慈愛に満ちたその表情に
心安らぎ
反面
苦しみが私を襲う

いつか 遠い存在になるのであろうか
その微笑(ほほえみ)も
軽やかな笑い声も

何気ない日常の会話ひとつに
幾年の歳月のなかで得た
穏やかな信頼感
なのに 時として
ドキリと見つめ返す 新鮮な発見

多感な少女時代を
共に戦い
互いを見つめ 
惹かれあい
反発しあい
何者にも変えがたい宝物

その友もまた
誰か知らぬ
真摯(しんし)な男性の手に落ちて
遠い人へとなっていくのか・・・

変わらぬ友情を誓っても
家族と違えぬ情愛を感じていても
やはり
その肩を抱き取ってあげられるわけではない

愛らしい風貌と
心の底からの優しさに
世の男どもが
気付かぬはずもなく

あまたの誘いを振り切って
けれど 多分
もうすぐ 友は
手の届かぬ人となる

その時は
心からの祝福と
胸を刺す一抹の哀しみを
華やかで清々しい花束に変えて
送ることだろう

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