アキンドさんのゆかいな仲間(秘密の如意棒)
私自身、今まで数々の、ネタになるような経験をしてきたが、
人の経験談ほど面白いものは無い。
想像力というフィルターにかけられて、自分で勝手に映像化してしまうからだろう。
少し前、Y社長から普段なかなか見る事ができないものを見てしまったという貴重な経験談を聞いた。
その夜、Y社長は得意先と池袋で飲んでいたそうだ。
2軒目に行こうということで、得意先の知っているこじんまりとしたキャバクラ風の店に入った。
可愛い娘も多く、盛り上がってきた頃、Y社長はトイレに立った。
小さい店のためトイレは男女兼用のものが一つあるだけ。
Y社長はノックをし、鍵も掛かってなかったので、何の疑いもなくドアを開けた。
そこには、それはそれは綺麗な、真っ白い桃が、和式の便器の上に浮いていたそうな。
しかも、よく見ると、桃の割れ目から、茶色い如意棒が伸びている最中だった。
やわらかい桃に強靭な如意棒
白と茶のコントラスト。
自然が成せる美しさ。
そして、ソレの持ち主の彼女が後ろを振り返り、Y社長と視線が合った。
その表情は一生忘れられないと言う。
(これは夢の中の出来事よ)と現実逃避する瞳がユラユラ揺れ動き、
(私にはもう、失うものはなにもないわ)というあきらめと、
逆に、だからこそ開き直れる、気高き恍惚の表情。
その時、二人だけの秘密の時間は永遠に止まってしまったようだった。
そして、二人の絆は誰よりも深く結ばれたのだ。
恋人よりも、妻よりも、家族よりも。
言葉を交わさなくても分りあえる仲になった。
Y社長は何も言わず、ドアを閉めた。
席に戻り、得意先と話をしていても、まるでうわのそらだった。
そこへ、店のママがやって来て小声で
「すいませんが、今日のところはお引き取り下さい。お代はいりませんので。」
とY社長に言ってきたそうだ。
Y社長と契りを交わした彼女は、ショックのあまり店へ顔を出せないらしかった。
訳のわからない得意先をなだめて、その店を後にしたのだった。
その娘にとって、この出会いは一生忘れられないものだろう。
こうして出来た太い絆はなかなか切れるものではない。
そして、男というものは単純で、自分だけがその娘の秘密を知っていると思うと、
「彼女は全てを自分に捧げているのだ。」と思い込んでしまう。
その後、Y社長は再びその店に行ったらしい。
二人の絆を確かめに。