市場原理主義の罠  −アメリカ発世界不況−
     

2009.6.12  

ブログより

市場原理主義の罠  −アメリカ発世界不況−

2009-05-26 | Weblog

日本はアメリカに自動車を輸出し、その売上金で貿易黒字を生み出しましたが、その黒字分で、アメリカの国債を大量に買い込んでいました。
ということは日本のお金は大量にアメリカに流れていったということです。
お金は、アメリカ → 日本 → アメリカ と流れただけです。

アメリカは、その日本から環流したお金をもとに、今度はアメリカ人に住宅ローンを販売しました。

アメリカは、貿易は赤字でも、日本から流れ込んできたお金で多額の資金がだぶついていましたから、
アメリカのローン会社は、高い金利で、低所得者層にまで無理矢理、住宅ローンを組ませたのです。
これがサブ・プライムローンです。
(プライムというのは優秀なという意味。サブとはそれを打ち消す言葉。つまり、良くないローンという意味)

そうするとアメリカの証券会社(インベストメントバンクという)は、
それら高金利の住宅ローン会社の債権を買い取り、
他のさまざまな金融商品と組み合わせて、
高金利をうたい文句に証券化し、海外に売り出しました。
これがデリバティブです。

いわば不良債権の交じった金融商品を、福袋のように一つのパッケージに詰め込んで、それを海外に売り出したのです。
日本もいっぱい買いました。
一番のお得意さんといっても良いでしょう。
これでますますアメリカに外国からの資金がまわってきます。

お金の流れは、
アメリカ → 日本 → アメリカ → 日本 → アメリカ
こういう流れです。

しかしこんなローンはもともとおかしかったのです。
日本は信用できない不良債権を、その高金利に騙されていっぱい買ったのです。

これが昨年9月にはじけたのです。リーマンブラザース証券の破綻です。
これによって日本はアメリカの不良債権をいっぱい国内に抱えました。
その中にはサブ・プライムローンもごちゃ混ぜになって交じっていました。

結果的に、アメリカの不良債権は日本が払うことになりました。
アメリカは日本以外にも不良な債権であるサブ・プライムローンを世界中に売りさばいていましたから、
これ以来世界は大不況に陥りました。



アメリカはなぜ日本に規制緩和を求め続けてきたのでしょうか。
市場原理主義を求めたのでしょうか。
上のことを考えるとこの理由がよく分かります。

アメリカは貿易赤字国にもかかわらず、
今言った理由から国内には資金がだぶついています。
いや世界中からアメリカに資金が集まっていると言ったほうがよいでしょう。
アメリカはそういうふうに仕向けたのです。

その資金を使って世界中の株や証券を買いあさろうとしたのです。
マネーゲームを始めるためです。

ところが日本の会社は相互に株を持ち合っていて、安定した株価を維持していました。
これではゲームにとって不都合だったのです。

アメリカとしては、どうしても日本の会社に手持ちの株を放出させなければなりませんでした。
放出させて株の市場が開放されたところでマネーゲームを始めるのです。

そのための市場開放であり、規制緩和であり、市場原理主義でした。

それらはすべてアメリカの思惑でした。
アメリカはこれをグローバリズムと表現しました。
見破られないようにしたのです。

日本はこのようなアメリカ金融資本のからくりを全く分からずに、
市場原理主義でいけばすべてがうまく行く、
規制緩和をすればすべてがうまく行く、
そう信じていたところがあります。

アメリカへの輸出に頼っていた日本の大企業はこれに大賛成で、自分たちのアメリカでのシェアを拡大しようとしました。

ところがそのような大企業の下心と結託して、
日本の政治家や官僚までもが素直に市場原理主義や規制緩和、新自由主義の正しさを信じてしまったのです。
それはたんにアメリカ金融資本の思惑にすぎなかったにもかかわらず、日本人自らそれに乗っかってしまったのです。
それを見抜けなかったのは自民党の責任です。
自民党はそうと分かっていて日本の国益に反することをしたのかも知れません。
小泉純一郎がブッシュのポチ公だというのはみんなが知っていましたから。

自民党はアメリカの言うがまま、市場原理主義・規制緩和の嵐は、金融以外のさまざまな局面にまで及んできました。

大きな政府から小さな政府へ。
官から民へ。
自己責任。
競争至上主義。
などなど。

その結果、日本にも投資熱が盛り上がり、多くの人が株に手を出しました。
株は上昇しました。
アメリカ金融資本は、リーマンブラザース破綻とともにそれを察知し、高値で株を売り抜けました。結局彼らは、損害を免れたのです。
彼らは安値で株を買い、高値で株を売り抜けたのです。
莫大な資金が彼らの手元には残りました。
株の暴落で損をしたのは、日本の国内投資家です。

日本はサブ・プライムローンで損をし、
株の暴落でまた損をしました。
二度の損を通じて日本の資産はアメリカに流れたのです。

こうやって日本の貿易黒字はアメリカの資産へと変わったのです。

アメリカの資産といってもこれはアメリカの一部金融資本家の資産です。
日本の政治は彼らの影響のもとにあります。



市場原理主義や規制緩和は、教育も例外ではありません。
市場原理を教育の世界へとばかり、いろいろなことが行われました。

大企業のエリート社員が校長先生にもなりました。
学校間にも生徒間にも競争原理がもたらされました。
しかしこれらはすべて大企業の発想です。
そしてその裏には日本の大企業の顧客としてのアメリカがいます。




教育の崩壊