アメリカとフランス      

2005.3.6  

掲示板より


イラク政策にしても、アメリカとフランスは対立した。
今世界中でアメリカにノーと言える国はフランスぐらいのものではないか。

これを単にフランスのプライドの高さのせいだとして良いのかというと、どうもそうではなさそうである。

フランスは良くオシャレでハイカラな国だと思われている。
しかし歴史の一時期にはイギリス王家を臣下にしていた時期がある。だからフランス人は英語を絶対に使いたがらないのだともいわれる。つまり臣下の使う言語だというわけである。
アメリカとなるとなおさらである。アメリカはもともとイギリスの植民地であるから、フランスにとっては陪臣に当たる。二段階格下の相手ということになる。

アメリカとフランスを日本人はとかく、ハイカラでスマートなイメージで見る。仲がよいはずだと錯覚している人もいまだに多い。アメリカの自由の女神像はフランスからの贈り物だし、独立戦争の時フランスはアメリカを応援したということを知っている人も多い。

ではなぜフランスはアメリカを応援したのかというと、フランスは長年イギリスと対立していたからである。そこでイギリスとアメリカが対立すれば、敵の敵は味方ということになり、フランスはアメリカを応援するようになる。
だからそれはフランスがアメリカ人を好きだったのでも何でもなく、一時的な国際関係上の利害の一致に過ぎなかったのである。

アメリカとフランスは手を組むよりもやはり今のように反目しあっている方が、私としては理屈に合っているような気がする。(私がそれを望んでいるという意味ではない)。
なぜならば、アメリカは主にヨーロッパからの移民によって成立した国であり、その移民の多くはイギリスの清教徒(ピューリータン)であった。

しかしフランスはそうではない。フランスは今でもカトリックの国である。フランスはプロテスタントを弾圧し、フランスのプロテスタント(ユグノー)たちは国外に脱出した歴史的経緯を持っている。

イギリス・ドイツもそれぞれ宗教戦争の歴史を持っているが、おおざっぱに言うならば、ヨーロッパは今でもカトリック人口が中心であり、プロテスタント系の北欧諸国でも穏健なルター派が多い。

それに対して新大陸アメリカは、ヨーロッパの反主流派が本国を逃れて移民してきた国であり、キリスト教の宗派でいえば、プロタスタントがだんぜん多い。しかもルター派よりもより過激なカルヴァン派(ピューリータン)が多い。

日本は今完全にアメリカの影響下にあり、思想的にも文化的にも、そして政治的にも強い影響を受けている。
今私はそのアメリカの影響の強さに一日本人として恐れおののいているわけだが、そのアメリカの恐ろしさが何に由来するのかということを考えていくと、どうもそれは宗教上の特異性にあるように思える。

ヨーロッパでは、カトリックとプロテスタントとの宗教対立には根深いものがあり、悲惨な宗教戦争の歴史がある。その宗教戦争の悲惨さに懲りて、その対立が外部の人間には分からないように巧妙に表面を取り繕ってはいるが、それは今でも政治的にも文化的にも、そして思想的にも大きな対立をはらんでいるようである。

現在の国際政治の舞台でも、アメリカとフランスがどこか肌が合わないのは、実はそういうところにあるのではないかと思う。

日本人はヨーロッパ諸国として欧米を一緒にしてしまいがちだが、アメリカ流ピューリータニズムとフランス流カトリシズムは、思想上の深いところで宗教的対立を抱え、将来の世界像もかなり異なっているように思える。





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