ラグビーとは?
ラグビーとは紳士のスポーツです。
そして、「少年を最も早く大人の男にし、大人の男に少年の心をずっと失わせないもの」といわれます。
そんな格好いい言い回しはさておき、まずはたまに知らない人のいるアメフトとの違いについて(笑)。
外見上の大きな違いはプロテクターを着けていないことです。
内面上の大きな違いはボールを前に投げてはいけないことです。
それでは、ラグビーではどうやってボールを前に進めればいいのか?
簡単です。
ボールを持って走ればいいんです。
ラグビーとは陣取り合戦なんです。
ボールを持っている人がいるライン(ゲインライン)が最前列です。
しかし、パスを出す時は前には放れません。
相手陣地(ボールを持っているプレイヤーより前)にいる味方選手は死んでいる選手なのです。
よって、仲間はボールを持っているプレイヤーより後にいなくてはいけない。
ということは、ラグビーではパスを出すことは自軍の陣地を狭めてしまう行為なのです。
(よって、パスをまわし続けている状態というのは攻めあぐねている状態なんです。決していい状態ではない。何しろ陣地もどんどん狭まってしまうんですから。)
だから、絶対にどこかで誰かが縦に走らなければいけない。
自軍の陣地を広げることを「ゲインを切る」と言います。
M大の有名な監督が「前へ。」と言う言葉をよく使ったと言われています(実際は使っていなかったようですが)。
ラグビーでは、ゴールラインに向かって垂直に(=前へ)走ることがトライへの最短ルートなのです。
いかに自分の足で自軍の陣地を広げるか、それがラグビーというスポーツの本質です。
さて、ラグビーは陣取りゲームである、ということと同様にラグビーにはもう一つ大きなポイントがあります。
それは、ラグビーは数のゲームである、ということです。
どういうことなのかをこれからご説明いたします。
ラグビーは15人1チームで行われます。
一人がボールをもって相手にぶつかっていくとします。
すると守備側はタックルをして相手を止めにかかります。
タックルが成立すると攻撃側、守備側共に死んだプレイヤー(寝ているプレイヤー)が出るわけです。
単純にこの行為を15回続けるとフィールド上には30人がねっころがっている、という状況ができるわけです。
勿論これは極端な話ですから、実際には途中で選手たちは立ち上がりますのでこうはなりません。
ただ、本当に単純に考えるとそうなるのです。
どこまでいってもどちらも進めない。
トライができないんです。
じゃあどういった状況が生まれるとトライにつながるのか。
それは、14人で15人分の仕事ができた時です。
どこかでどうにか頑張って一人分余らせる。
最終的には、いかに攻撃2人守備一人という状況を作るか。
(そうすれば一人が相手とぶつかって、そのあともう一人がそのボールを拾って走れば独走トライです。ラグビーが基本的に独走トライばかりなのはこういう理由です。)
それがラグビーの全てなんです。
最後に誰か一人を余らせるために残りの14人は全員犠牲になる。
One for all,All for one.の精神とはそういうことなんです。
最後に走るやつを信じて自分が人とぶつかる。
最後に走るやつを信じて自分がパスを出す。
最後に走るやつを信じて自分が囮になる。
そして最後にボールを受けたやつは全員のために走る。
そこで初めてトライが取れるんです。
僕が高校時代にFB(ポジション説明を参照)をやっていたヤツは試合中は「俺んとこに持って来い、俺にパスを出せ!」といつも偉そうに(笑)言っていました。
勿論彼にボールが渡るときというのは決定的なチャンスの時です。
彼もわかっていてその言葉を言っている。
僕らもわかっていてその言葉に従えるようにプレイをする。
何かちょっと恥ずかしい話ですがそいつはいつもトライをとった後に僕に「サンキュ。」といってくれました。
基本的にトライの瞬間を見ることすら稀な僕は本当にその言葉を誇りに体を張っていました。
ああ、懐かしいな(笑)。
※ちなみに、一対一の状況で力の差がありすぎてしまうとタックルすら成立せずに独走トライを許してしまうことになります。基本的にラグビーは横一列に並んでいるのでそうすると誰も追いつけないんです。ですから、力の差がありすぎるとラグビーでは恐ろしいほど点差がついてしまいます。ラグビーには接戦とワンサイドゲームしかないんです。