戻る

「転倒予防のききとり調査報告書」の「調査の目的とねらい」より


  BSL研究会が高齢者の住まいについて学びながら、住み慣れた街で安心で安全で快適に住み続けていくための実践活動を開始してすでに6年になりました。

 その間、介護保険制度の施行他、高齢者をとりまく社会的環境整備は少しずつ進展してきています。

 しかし「痴呆」「寝たきり」の高齢者の数が徐々に増えているのも事実です。多くの高齢者は、この2つを回避したいと願って暮らしているにもかかわらず、毎年、転倒・転落という家庭における不慮の事故で、骨折による入院、寝たきりという状態になる人が多いことが調査結果(救急搬送の55.5%)で明らかになっています。

 BSL研究会が参加しているミニデイの現場でも、1昨年ベッドからの転落事故が発生しました。幸いその人は元気になられ、一安心ですが、事前に事故を予防することが出来なかったことを反省し、住まいの危険を防ぐきっかけづくりにしたいと考え、「転倒予防のききとり調査」を実施することにしました。

  このききとり調査は、①高齢者の方に転倒・転落の様子を伺うことで、もう一度、今の暮らしを見つめ直し、転倒を予防することの大切さを知るきっかけにしていただきたいと考えました。さらに②調査の結果をまとめることで、私たちの「すまいの相談活動」のより身近で役に立つ住まいづくりの提案の参考にさせていただきたいと思います。
 事実、この調査を通して、ミニデイ現場では今までになく生活の見直しが話題になり、転倒予防に対する意識の高まり、環境整備への関心という調査の成果が見られています。

 上記のような目的のため、私たちは、高齢者に直接○×式でアンケートにご記入頂くのではなく、調査員による「ききとり方式」を取り入れるようにしました。

 予定より回収・集計・分析に時間がかかり、報告が遅くなりましたが、その結果は大変意義のあるものでした。高齢者の生活や転倒・転落の様子が語られ、多くの問題点が指摘されました。なによりききとり調査を通して、聞く側・聞かれる側に転倒予防と環境整備の重要さに気づいていただくというきっかけになったと思われます。

 今回、調査の内容を皆様にご報告し、皆様が「安心で安全で快適に暮らす」ための参考にしていただければと思います。

 私たちもまた、この調査の結果を基に高齢者の住環境整備の啓発活動を続けていきたいと思います。

戻る