四間飛車の散歩道 No.29

居飛車△8五歩早突き

居飛車が穴熊にもぐるとき△8五歩を保留しているのをよく見かけると思う。
何故早く決めないか疑問に思ったことのある人も多いはずだ。
かくいう私もその一人だった。
級位者レベルでは知らない人も多いと思うのでここでまとめておきたい。

穴熊にもぐるなら基本図の居飛車陣は普通の形である。
振り飛車は居飛車の△8五歩を咎めるために▲3九玉を急いでいる。
居飛車の動きを見るために▲2八玉は保留する。
ここから△3三角を待って▲8八飛と正体を現す。

以下は居飛車の動きを見ながら最も良いタイミングで▲8六歩としかけるのがよい。

ポイントは▲1五歩。
この歩を突き損なうと居飛車側から△1四歩と突かれ左美濃に変化される。
それでも振り飛車良しなのだが不満が残る。
▲7八金は必要な一手。
これにより居飛車の反撃の筋を消し、手厚い形に成っている。
▲8六歩△同歩のあとは▲同角と▲同飛の二通りの手段がある。
どちらも振り飛車良しなのだが、▲同飛は激しい戦い、▲同角は含みが多いという違いがある。
結果1図以下は▲97桂をねらう。
結果2図は振り飛車良し。
いずれにせよ居飛車の金銀がバラバラな内に仕掛けられたら振り飛車優勢。
そうでなければ居飛車充分というわかりやすい形である。

この戦型のもっとも大きな利点は振り飛車側から仕掛けられるということだ。
主導権を握れるはずの居飛車で振り飛車に選択権を渡すのは居飛車として面白くない。
以上の理由で居飛車は△8五歩を保留しているのである。

もちろん将棋はそう簡単ではなくて
▲5八金を上がるのを待ってから△8五歩と突けば良いなど
居飛車に工夫の余地が大きいのだが、
何気なくやり過ごしている級位者が多いようなので
これを知っているだけでも対穴熊の勝率は上がると思う。


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