§棋書雑感



最強居飛車穴熊マニュアル
著:佐藤康光発行:2003年出版:日本将棋連盟

佐藤康光9段の居飛車穴熊の解説書。
普通の美濃囲い対居飛車穴熊から始まって最新の藤井システムまでなんでそうなのというところをしっかり押さえて解説してある。
真摯な人柄を感じさせる丁寧な解説は好感が持てる。
自戦解説もわかりやすく正直でためになる。
対象は初段を目指す級位者から有段者までといった感じだ。
居飛車党だけでなく居飛車穴熊に困っている振り飛車党にも読んで欲しい本である。

島ノート振り飛車編
著:島朗発行:2002年出版:講談社

島先生による渾身の書き下ろし。
現代振り飛車の研究が惜しみもなく書き連ねてある。
プロの知見を島先生の深い理解でかみ砕いてあり、
非常にスマートな解説となっている。
感覚的なことまできちんと書いてあり、非常にわかりやすいと思う。
内容は高段者向けだがプロの感覚に触れたい人には読んで損のない本だろう。

最強四間飛車マニュアル急戦編
著:久保利明発行:2002年出版:日本将棋連盟

振り飛車党の旗手久保先生による待望の急戦定跡書。
一冊で先手番後手番双方の作戦に指針を示したを高く評価する。
特に前著振り飛車新世紀2でも評価の高かった対棒銀の研究は今回も健在である。そして久保流と呼ぶ△1二香の変化も見逃せない。

全体として▲7八銀型で出来る限り待つという基本方針がわかりやすく、
有段を目指す人の定跡入門に相応しいと思う。
解説についてはその重複が非常に気になる。もう少し文章を推敲して欲しかった。
加えて先手四間対後手急戦はこの本だけでは足りないので他の本で補う必要があるだろう。

東大将棋四間飛車道場8  銀冠vs穴熊
著:所司和晴発行:2002年出版:毎日コミュニケーションズ

8巻は四間穴熊対銀冠である。
今も昔も有力な四間穴熊の天敵銀冠の最新の変化を余すところなく示してある。
ただ非常に難解なのでとても級位者には薦められません。

東大将棋四間飛車道場7  相穴熊
著:所司和晴発行:2002年出版:毎日コミュニケーションズ

東大将棋シリーズも七巻を迎え四間穴熊へと突入した。
その端緒として相穴熊の最新の攻防を採り上げている。
今まであちこちで言われていたように相穴熊の将棋の序盤は非常に緻密になってきている。
その一端を窺うことが出来る。
私は四間穴熊には詳しくないので内容の軽重を正確に計ることは出来ないが、
今までの本とは一線を画す重厚なシリーズとなりそうな予感がする。

東大将棋四間飛車道場6  最強1二香
著:所司和晴発行:2002毎日コミュニケーションズ

このページでも採り上げた△1二香△3二銀型。
この振り飛車最強の布陣に対して詳説が広げられている。
▲3八飛とまわってからの▲4六歩と突く仕掛けが新しい。
他に鷺宮定跡では従来の定跡書に載っていなかった一歩先の変化まで踏み込んである。
加えて5筋位取りの内容も見逃せない。
一つ注文を付けるなら▲3八飛▲3七銀の変化も読みたかった。

東大将棋四間飛車道場5  棒銀
著:所司和晴発行:2002毎日コミュニケーションズ

所司先生の本第5巻は棒銀である。
今回のシリーズの特徴である基本図までの駒組みが実に深く広いのが嬉しい。
また現在主流の△4三銀型の広く深い変化が有用。
従来の本で明かされなかった変化や棒銀に組む過程での手順前後の咎め方など興味深い内容が盛りだくさんである。
しかし「一筋端攻めの是非はいかに」と帯にあるわりに解説は僅か8ページ。理由は不明。
後手四間飛車しか解説していないので先手四間の時を他の本で補う必要有り。

三浦流右四間の極意
著:三浦弘行発行:2002毎日コミュニケーションズ

三浦先生の処女作。▲2六歩型、飛車先保留型を解説。
簡潔明快で質の高い内容。右四間側に寄らず、この形はこれで駄目とはっきり書いてある。
羽生の頭脳に匹敵する歴史的名著と思う。絶対に手元に置いておきたい本である。
この本を読んで三浦先生はこれからも勝ち続けていくだろうと漠と思った。
そう思わずにはいられない解説である。
一つだけ注文を許されるなら先手四間の内容も欲しかった。
二巻での詳説を望む。

東大将棋四間飛車道場4  4五歩
著:所司和晴発行:2002毎日コミュニケーションズ

期待の所司先生の本、第四巻。
実に味わい深い内容である。
4五歩は振り飛車が苦しいと囁かれている戦型だけに振り飛車党必携の書となるだろう。
この本の特徴は帯にある郷田新手の深い研究となにより玉頭銀の詳細な変化である。

東大将棋四間飛車道場3  左4六銀
著:所司和晴発行:2002毎日コミュニケーションズ

期待の所司先生の本、第三巻。相変わらずマニアックな内容で読み応えがある。
振り飛車が後手番の時しか載ってないのが難点ではあるが、
千葉先生の講座やこれにて良し!?で紹介された37歩と叩く手が載っていて、それだけで読む価値あり。
もう一つ重要なのが手待ちの仕方について興味深い示唆がいくつかあるということ。
「仕掛けのタイミングを探して」のところでも少し言ったようにこれについて書いてある本はほとんどないからである。

青野照市のノックアウト四間飛車
著:青野照市発行:2002フローラル出版

新鷺宮定跡後の新研究も載っていて一読の価値はある。
これにて良しからの指し方考え方も参考手順として載せてあり、少し初心者よりの構成となっている。
青野先生の本らしく居飛車良しの変化ばっかりで振り飛車党が読むときは気合いを入れて読む必要有り。
フローラル出版という今まで聞いたこともない出版社で慣れていないのか組み版がかなり雑である。
特に成桂などの表記は見るだけで嫌気を起こしてしまうのは私だけではないだろう。
買うのを躊躇してしまう装丁だが意外に内容は侮れない。

東大将棋四間飛車道場2  右4六銀
著:所司和晴発行:2001毎日コミュニケーションズ

期待の所司先生の本、第二巻。
振り飛車のちょっとした駒組みを捉えて右銀で速攻を掛ける順の解説です。
右銀は得てして玉の薄さが最たる弱点ですが、
居飛車が箱入り娘という囲いで手待ちをすることでそれを補いながら有利にする手順を解説しています。

東大将棋四間飛車道場1  ミレニアム
著:所司和晴発行:2001毎日コミュニケーションズ

期待の所司先生の本。この本が出るのをどんなに待ったことか。
前作の徹底シリーズが名著だっただけに絶版になってしまったのが口惜しかったのですが、
これでようやく詳細な研究が堪能できるわけです。
しかも内容はミレニアム(西田スペシャル、トーチカ)。
この戦型は今最前線なのですぐに本が古くなってしまう可能性が高いのですが
それでも読む価値ありです。
出来れば振り飛車が穴熊に組みに行く順に触れて欲しかったとは思いますが、
もうしばらくして定跡がしっかりしてからでないと難しいでしょう。
「ミレニアム2」出して欲しいですね。

明快四間飛車戦法
著:鈴木大介発行:2001創元社

振り飛車党 鈴木先生の本。
内容は初心者よりの解説になっていて、有段者には物足りないだろう。
特筆すべきは鈴木先生の本だけに鈴木システム(銀冠での居飛車穴熊対策)
の記述があることだ。
玉頭位取りの定跡もはずせない。「四間飛車を指しこなす本3」と合わせて読めば完璧になるだろう。
また棒銀で加藤流の端攻めを扱っていてこれも貴重。
解説している局面がかなり限られているので(先手番が多い)
入門書としては良い本と言えるかもしれないが、しっかり勉強しようと思えば他の本も合わせて読むべきと思う。

粉砕振り飛車破り
著:井上慶太発行:2001創元社

振り飛車破りなので四間飛車だけでなく三、中、向かい飛車破りも載っているので振り飛車党としては参考になる。
最近四間飛車とゴキゲン中飛車以外の急戦振り飛車破りの本はあまり出ていないので貴重な本ではある。
肝心の四間飛車の項はまず端の位をとる藤井システムに対して右銀急戦を仕掛ける順の研究が貴重。
普通の四間飛車に対しても右銀で類を見ない仕掛け方を展開してある。
実に男らしい研究と言えるだろう。
右銀以外の本は載っていないので振り飛車党としては一通り定跡を知った上で参考にするぐらいでしか使えないのがつらいところである。

四間飛車を指しこなす本3
著:藤井猛発行:2000河出書房新社

藤井先生の次の一手式、定跡講座第三巻。
二巻の続きで対居飛車穴熊の藤井システムから入っている。
藤井システムで扱う内容は有段者向けであり、これだけで実戦に応用するのは四段クラスじゃないと難しいと思う。
後半の左美濃、五筋位取り、玉頭位取りは有用なので級位者でも持っていて損はないと思う。

四間飛車を指しこなす本2
著:藤井猛発行:2000河出書房新社

藤井先生の次の一手式、定跡講座第二巻。
居飛車穴熊撃破を標榜に組まれる前に急戦で仕掛ける様々な形を紹介してある。
この本をマスターすれば級位者でも居飛車穴熊と互角以上で渡り合えるだろう。
後半は藤井システムの導入になっており、藤井システムを指してみたいけど難しそうだなと思う人や
「最強藤井システム」などで一回挫折した人にはぜひ読んでもらいたい本です。

四間飛車を指しこなす本1
著:藤井猛発行:2000河出書房新社

今の四間飛車の第一人者である藤井先生の次の一手式、定跡講座第一巻。
右ページを読み進め最後まで行ったら逆さにして反対のページを読み進めるという構成が珍しい。
内容は急戦定跡を主体に初級者向けにまとめてある。
終盤の問題も後の方にあるがこれも有段者向けとは言い難い。
しかし、定跡の手順は藤井先生推薦の紛れの少ない変化だそうで、
なぜこの変化なのかを考えながら読むことで有段者でも味わい深い本と言えるだろう。
2000年度竜王戦で同一局面が出ており、その意味でも信頼が置ける。
あわせて「まとめ」の項も光っている。
級位者に今一番安心して薦められる本であり、この本を何度も反復して全て理解すれば24の5級は堅いと思う。

最強藤井システム
著:藤井猛発行:1999日本将棋連盟

藤井システムが最も詳しく解説された書籍。有段者必読。
内容はかなり高度なので、むしろ高段者でないと理解は難しいでしょう。初心者は手を出さない方が無難。
値段も高いですし、これを買うぐらいなら他の本を2冊買った方がいいと思います。
ハードカバーで装丁が良くできていて永久保存版という香りがします。

これが最前線だ!
著:深浦康市発行:1999河出書房新社

深浦先生の総合的定跡レビュー。
振り飛車から居飛車まで現在のプロ棋戦で現れる主要局面を採り上げ4ページぐらいずつ解説を加えてある。
定跡の変遷から最新定跡までかなり要点に絞ってまとめてあるので実に興味深い。
深浦先生の研究手順も明かしてありその点でも読みごたえがある。
ただ定跡を知らない人には読んでも何がどうなっているのか分からないかもしれない。
また充分な棋力がないと理解は難しいだろう。
そういう人はプロの棋譜を見るときに参照して楽しむとよいだろう。
残念ながら私は後半の相居飛車の章は読んでもあまり理解が出来ませんでした。

これにて良し?
著:高野秀行発行:1999毎日コミュニケーションズ

よくある定跡のこれにて良しという局面から勝ちまで研究した書籍。
定跡書ではなくて定跡書を補うための本。
定跡をよく知らない人が多い級位者相手ならこの本の内容が生きるかもしれませんが、
有段者相手にして本通りの局面が現れることはまずないと思います。
しかしそれでもこの本に高い評価を与えているのは勝ち方、受け方、粘り方などの勉強になるからです。
級位者には特にこの本を薦めます。
途中途中の局面で形勢判断を独自の表を用いて判断する方法も使っており、
新しいタイプの本です。
その意味でも評価すべき本と思います。

振り飛車新世紀6 杉本流四間飛車
著:杉本昌隆発行:1998毎日コミュニケーションズ

研究の深さで知られる杉本先生の待望の本である。
対居飛車穴熊に絞ってあり、要点を的確に簡潔に解説してある。
藤井システムは難しいと思っている人に薦めたい本です。
藤井先生の本はかなり厳密ですが、それと対照的に杉本先生の本は棋風が良く出ていて、
おおらかで直感的に把握しやすい書き方がなされています。
藤井先生の本で挫折した方はこれを読んで下さい。
相穴熊の研究も載せてあります。

振り飛車新世紀4 鈴木流四間穴熊
著:鈴木大介発行:1998毎日コミュニケーションズ

鈴木大先生による四間飛車穴熊の研究書。
四間穴熊の定跡書は他に小林健先生が出しているだけなので穴熊党必携の書であろう。
鈴木大先生はどちらかというと序盤よりも中終盤重視なのだが定跡書として充分参考になる。

振り飛車新世紀3 久保流四間飛車下
著:久保利明発行:1997毎日コミュニケーションズ

久保先生による対穴熊研究書。
先手番では端の突き合いがある形や飛車先不突き型での研究が、
後手番では浮き飛車や銀冠が見るべき箇所である。
久保先生は今勝ちまくっているだけに信頼性も高い。
穴熊に悩まされていて深く研究したい人に薦めたい本です。

振り飛車新世紀2 久保流四間飛車上
著:久保利明発行:1997毎日コミュニケーションズ

久保先生による対棒銀研究の大著。棒銀は今も昔も居飛車の主要戦法だが苦手にしている振り飛車党は多いようだ。
級位者はこの本をマスターすれば棒銀では負けなくなるだろうし、
有段者も作戦負けしなくなる筈である。
この本より詳しい棒銀の本はないので常に傍に置いて研究の糧にしたい本である。

振り飛車新世紀1 窪田流四間飛車
著:窪田義行発行:1997毎日コミュニケーションズ

対居飛車穴熊研究と居飛車がそれに急戦で変化してきた時の対策を示した本。
当時は新しい本だったが、今では対穴熊の定跡はすっかり変わってしまったので無理して買わずともよいと思う。
持っておいて損ということは無いとは思うが。
今の視点で見ると対山田定跡の研究が役立ちそうである。
後半の窪田流対棒銀▲5三金型は参考になると思う。

藤井システム
著:藤井猛発行:1997毎日コミュニケーションズ

藤井先生による対左美濃藤井システムの研究書。
左美濃を鮮やかに破る変化を体系的にまとめてあり、
これを読んで勉強すれば左美濃は全く怖くなくなります。
現に私はこれで左美濃にほとんど負けなくなりました。
藤井先生の定跡書の中で唯一と言っていいほどわかりやすい本なので、
傍らに置いておきたい本の一つです。

居飛車穴熊完全撃破 必殺藤井システム
著:藤井猛発行:1997日本将棋連盟

対居飛車穴熊の初期藤井システムの研究成果をまとめた本。
内容が少し古いのは否めないが級位者なら充分通用するのではないかと思う。
対左美濃の成果も少し紹介しているので、「藤井システム」が手に入らない人や
「最強藤井システム」に手が出ない人には損はないだろう。

新鷺宮定跡
著:青野照市発行:1997日本将棋連盟

居飛車急戦党青野先生の大著。
前著「必勝!鷺宮定跡」の流れを汲む本であるが、この本だけで独立して読むことが出来る。
定跡を無味乾燥なものではなく、歴史の流れの中で理解できるように工夫してある。
定跡の進歩を肌で感じられるいい本です。
青野先生は理論派なのでしっかりみっちりと定跡を詳解してあります。
ためになるいい本なので是非手元に置いておきたい本です。
まあ値段が高いのが玉に瑕ですね。それでも他の本を2冊買うのを我慢しても買う価値がある本と思います。

四間飛車で勝とう
著:小林健二発行:1997日本将棋連盟

四間飛車の入門書。
初心者向けに易しく解説してあり、入門書として今でも有用な本である。
序盤の駒組みから急戦、持久戦定跡をかみ砕いてあり、級位者には価値ある本だと思う。
当然ながら有段者は対象外なので買わずとも良い。

スーパー四間飛車最新版1急戦!居飛穴破り
著:小林健二発行:1997毎日コミュニケーションズ

小林健先生の対居飛車穴熊の研究をまとめた本。
藤井システムや鈴木システム全盛の今の目で見ると新鮮な形がいくつか採り上げてあり持っておいて損はないと思う。
浮き飛車や端角、6筋早仕掛けなどはアマレベルなら立派に通用する戦型と思う。
居玉急戦も取り扱ってあるが藤井先生の本のように藤井システムの形にこだわらずに柔軟な幅広い対策を広げて見せてくれる。
居飛穴攻略の戦術書としておもしろい本と思う。

スーパー四間飛車最新版2撃破!居飛車急戦
著:小林健二発行:1997毎日コミュニケーションズ
小林健先生の急戦定跡の最新研究の概説である。 定跡書ではないので初心者には難しいと思う。 あくまでも定跡をある程度知っていて、最新の変化を追いかけたい人向けに書かれた本である。 かなり厚めの本で内容も棒銀、斜め棒銀、鷺宮定跡、山田定跡、4五歩早仕掛け、玉頭銀、その他新しい仕掛けなど多岐に渡る。 もっとも最新定跡のための本なので局面を絞ってあり、早仕掛けは同角型しかないなどすでに大方結論が出ている形は載せていない。 プロの実戦譜が主体の内容で深く考えさせられる本である。

力戦!スーパー振り飛車
著:小林健二発行:1997毎日コミュニケーションズ
四間飛車全盛の昨今ではあまり指されないが有力な振り飛車の研究である。 内容は石田流、立石流、坂田流向かい飛車、それと何故かは知らないが対右四間飛車の研究も載せてある。 振り飛車の幅を広げたいなと思っている人に薦めたい本です。 四間飛車党にとっては立石流と右四間飛車が気になるところです。 立石流は力戦型なので定跡のような詳解はなされていませんが要所要所を押さえた解説を施してあります。 右間飛車を苦手にしている四間飛車党の人は多いようですが対策を講じた書籍は少ないです。 この本では従来ある船囲い型定跡の紹介と左美濃、居飛車穴熊を相手にしたときの手筋などをたくさん集めてあります。 対右四間の研究の一助になると思います。

羽生の頭脳1
著:羽生善治発行:1992日本将棋連盟
四間飛車に対する急戦定跡に対し、詳細にかつ簡明にそして体系的に書かれた歴史的名著。 内容はいくつか古くなっているものの、この本の根幹は今でも輝きを失っていない。 この本が出てから振り飛車の定跡が体系的な観点で整理されてきたと言っても過言ではない。 改めて羽生の将棋の技術に対する業績の凄さを感じる。 文章だけを見ても題名の通り羽生の頭脳を窺うことが出来る本と言える。

羽生の頭脳2
著:羽生善治発行:1992日本将棋連盟
1と同様に格調高い内容に仕上がっている。 後手番からの急戦の体系的な仕掛け方が興味深く、自戦記も嬉しい内容と言える。 今でも初級者には基本を押さえるのに是非活用して欲しい本である。 僅かでも山田定跡について解説が欲しかったとは思う。

羽生の頭脳4
著:羽生善治発行:1992日本将棋連盟
左美濃と居飛車穴熊の2大持久戦の解説。 このころはまだ藤井システムを始めとする玉頭からの速攻という概念が無く、 どれも居飛車よりの解説となっている。 じっくり組み合っての戦い方は参考になるが、この本だけでは不充分である。 今となっては余裕があれば目を通せばよいという程度の本である。

谷川流スピード将棋 対四間飛車
著:谷川浩司発行:date池田書店
谷川先生の本らしく急戦で仕掛けて勝つことを目標にしてある。 現在では古い情報ばかりではあるが扱っている戦型もかなり整理されていて理解しやすい配置になっている。 この本の最大の売りは何より右四間飛車の詳細な研究であろう。 四間飛車があまり見ない受け方をしてきたときの攻め方をわかりやすく述べてある。 また全編に渡って定跡の暗記ではなく指し方、考え方を重視した解説がよい。


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