四間飛車党 養成講座

2.3 中盤の進め方








ここまでで序盤の駒組みを覚え、無難に序盤を進めることが出来るはずだ。
駒組みは覚えればある程度何とかなるが、中盤はそうはいかない。 感覚を磨いていくというのが重要で、その中に振り飛車の手筋を覚えることが内包されているのである。

四間飛車の場合自分から仕掛けていくよりも相手の仕掛けを待つのが基本である。 相手の仕掛けを利用して強烈な反撃を狙うという感覚を学ばねばならない。 藤井猛9段は振り飛車の極意は「相手の力を利用して投げる」とおっしゃられている。 この延長に「捌く」という振り飛車独特の感覚が存在するのである。

では「捌く」とは何か?
まず下図を見てみよう。

図はある仕掛けの直前の形から角銀桂を持ち駒にして、 互いに飛車を成り込んだ局面である。 これが実は振り飛車良しなのである。
なぜなら「美濃囲い」と「船囲い」とでは堅さが違うため、 互角の条件で攻め合い(寄せ合い)になればまず振り飛車が勝てるからである。
これが「捌く」ということの本質である。
つまり互角の条件での捌き合いが中盤の目標なのである。

具体的な手段を見ていこう。

まず「攻められた筋に飛車を振り直す」というのがある。
これは上述の強い反撃のためである。
第1図からの手順を参考にして欲しい。
△7五歩に対してすぐに▲同歩と取るのではなく、 一旦▲7八飛とまわる。そして居飛車が△7二飛とまわって総攻撃を狙った瞬間に ▲6五歩と反撃を開始する。この呼吸が大事である。

次に「手に乗って捌く」や「軽く捌く」と呼ばれる手段がある。
これも第2図からの手順を参考にして欲しい。
今度は上の変化と違って△7五歩に▲同歩と取る。 上では▲同歩では△同銀と取られたがここでは銀が居ないので▲同歩が本筋の手になる。 この歩を狙って△6四銀と出てくるが慌てず騒がず▲7四歩とかわす。 そして△7五銀のタイミングで▲6五歩と突き、狙われている▲7七角を捌く。 以下遮二無二攻めてきても鮮やかに駒を捌いて振り飛車優勢となる。

いずれも四間飛車のエッセンスとなる重要な言葉である。 これらの言葉を思い出しながら中盤は指せばよい。
実戦で今掲げた図のように鮮やかに指すことはまだ難しいと思う。 実際には「駒損をしないように飛車を成る」ことを目標にすると良いと思う。
ちなみに紹介した変化はどちらも四間飛車が良くなる変化で是非覚えておきたいものの一つである。

今話してきたのは対急戦の場合で 持久戦(左美濃、穴熊、位取り等)の場合には当てはまらないことを注意しておく。 これらの戦型では相手の玉が不安定な時に仕掛けを狙うのがよい。
居飛車穴熊が強敵だがこれは組み上がるまで手数がかかるので 速攻を掛ける手順が何通りも存在する。カタログの方を参照して欲しい。
尚、左美濃は玉頭が弱いのが大きな弱点でそこを徹底的に突いていく方針がよい。

中盤で気にしておきたいものの一つに5筋の歩がある。 この5筋の歩を突き捨てておくと攻防に自由に歩を使うことが出来る。 5筋の歩をタイミング良く突き捨てて攻防に歩を使えるようになればこの講座は卒業であろう。 これを意識するとぐっと中盤の振り飛車のセンスが上がるはずである。





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