日本公衆衛生学会より



  2001年11月1日に行われた日本公衆衛生学会を見てきました。私の視点からこの学会を報告したいと思います。全部に参加するのは無理だったので、一部だけの参加となりました。


  

       教育講演2 「教育改革と学校保健・地域保健」    森 昭三 (日本学校保健学会理事長)

  つまらなかったです。教育改革の歴史についてが大半でした。学校保健学会は、3分の1が医学系、3分の2が教育系の人で占められています。対応が遅いので、経済同友会などから「教育のスリム化」の要請があるそうです。そして、校長に企業人がなったりしているそうです。やはり「学校保健といえば体育」なのか体育系のひとがおおく、理事長も「体の健康を通して心の健康を」と言っていました。今までそれで失敗してきたはずなんですが・・・。最後に、これからは一般教員も心理学的な知識が必要となるので、教員が勉強する手助けをして欲しい、と言って終わりました。ちなみに講演を聞いている人は、保健婦さん(看護婦)、保健所所長さん(医師)、公衆衛生学の研究者(医師)、社会学のたちで、保健所関係が多いと思われます。そして、日本公衆衛生学会なので、北海道の人も来てました。
  ゆくゆくは教員のレベルアップが必要なことに異論はありませんが、今現在すぐのアクションが望まれます。
  
        シンポジウム3  「心の健康と社会」
基調講演 「現代の青少年の心の問題」  山崎 晃資 (東海大学医学部精神科教授)
   1   「脳科学から見た母子相互作用と心」  大西 鐘壽 (香川医科大学名誉教授)
   2   「人間と環境とストレス」          川上 憲人 (岡山大学衛生学教授)
   3   「コミュニティーと心の健康」        杉山 恵理子 (四国学院大学教授)
   4   「心の健康への政策的アプローチ」    松本 義幸 (厚生労働省障害福祉部精神保健福祉課長)

  目新しいことはなかったです。無難に進みました。基調講演は青少年の問題についてワイドショーみたいなことを言ってるだけでした。1は精神疾患は3歳までの環境に問題がある、というものでした。2はストレスマネジメントの話でした。3は人のつながりと偏見についてでした。4は役所の現在の対応状況です。この5つの講演の後、討論となりました。私のページでも取り上げているとおり、児童・思春期を扱う医者がすくなすぎる、という話になりました。全国で400人位?しかいない。欧米は人口4千人に一人なのに対して、日本は人口25万人に一人だそうです。医者からは「研究費を出してくれ」、役所は「どうお金をつけたら、児童・思春期を扱う医者が増えるのか」と言う意見がでて、話が止まりました。三歳までが大事という話はもっともですが、やはり今悩んでいる人への解決策にはなりません。偏見の話は正しい知識の普及が大切だという結論になりました。具体的な普及活動法についてはなにもありませんでした。
 WHOの発表にもあるとおり、世界人口の4人に1人は人生のどこかのステージで何らかの精神疾患を患う、ので心の健康は今後重要だ、という話でした。しかし研究者の数も少なく、具体的に何をしたらいいのか、まだ誰も分からない状況であることが分かりました。
     日本公衆衛生学会抄録集より
  抄録集とは今回の学会で発表された論文の要約を全て載せたものです。950ページくらいあります。これをざっとみたところ、やはり児童・思春期を対象にした研究はほとんどありませんでした。