さて、第一週が終わったわけだが、ほぼ予想通りのスタートではなかっただろうか。
特に、ユナイテッドは予想を上回る出来だった。ベッカムの抜けた穴を全くといっていいほど感じさせなかった。新戦力のハワード、ロナウド、ジェンバ・ジェンバも早くもチームにフィットし、その中でもロナウドは素晴らしかった。右サイドでも左サイドでも質の高いプレーを見せ、これから彼が十分に戦力になりうることを証明してみせた。既存の戦力である、ギグス、スコールズ、ファン・ニステルローイも好調なようで、今シーズンもプレミアの首位争いを牽引していくことはほぼ間違いないだろう。
逆にアーセナルは、やや不安なスタートだったものの、こちらもしっかりと勝利を収めてきた。キャンベルの退場はあまりにも痛いが、アンリ、ピレス、ヴィルトールを中心とした攻撃陣の得点力が、守備の不安をある程度カバーしてくれるだろう。攻撃のキーマンとされるリュングベリも今シーズンはやってくれそうな気配だ。ただ、慢性的な戦力不足は感じてしまうので、CLやカップ戦などをどう現有戦力で乗り切っていくのか、そこがヴェンゲル監督の腕の見せ所だろう。正直、普通に考えたら今の戦力だけでは優勝は厳しい気がするのだが。。。
次に期待されるのがチェルシーだろう。今シーズンはどう考えても優勝候補の一つだと思われる。もともと守備の自信のあるチームに、魅力的なアタッカー陣の大量補強。新戦力がチームにフィットしさえすれば、ユナイテッドやアーセナルに対抗することも十分可能である。ただ、開幕戦を見た限り、なんとなくラニエリ監督の采配では厳しいのかな、という気がしてしまった。たしかにリヴァプール相手だしアウェイではあるのだが、グジョンセンの1トップというシステムはあまりにも勝利に対して消極的ではないだろうか。ハッセルバインクの個人技でなんとか勝利したが、なんとなく引き分けでもいいや、という意図を感じさせる采配なのである。勝利に対する執念。チェルシーが優勝するためにはこれをラニエリ監督が選手に伝わるような形で見せることが絶対条件だろう。
ニューカッスルとリヴァプールは、それぞれ良くも悪くも持ち味が出ていたような気がする。前に前にどんどん速い攻撃をしかけるニューカッスルと、ロングボール主体でカウンター重視のニューカッスル。この2チームは間違いなく、ある程度の成績は残すことができるとは思う。ただ、優勝できるかとなると何かが足りない。ニューカッスルはやはり守備が不安だし、リヴァプールはジェラードとオーウェンに頼るところがあまりにも大きい。ニューカッスルと上位2チームとの違いは、両サイドのディフェンスだと思う。例えば、スールシャールやヴィルトールといった選手は意外とかなり守備をしているのだが、ロベールはどうか。ニューカッスルの場合は、ロベールどころかサイドバックのベルナールまでが攻撃に加わっているシーンもよく見られる。とことん攻撃的な姿勢は見ていて面白いのだが、そのぶんやはり守備に不安が残るのは仕方のないところ。ある意味ジレンマであるが。逆に、リスクを冒さないリヴァプールのサッカーは、見ていて面白さはあまり感じられない。ここぞというところでジェラードやマーフィーが前線に飛び出す場面はあるが、基本的にはロングボール主体で、オーウェン、へスキーよろしくな攻撃スタイルだ。このスタイルを改善するためにも、キューウェルの突破には期待していきたい。
個人的にダークホースなのが、今シーズンのブラックバーン。ダフが思わぬ高額な移籍だったというのもあるが、それにしてもいい補強をしたと思う。経験豊富なDFであるアモルーゾ、運動量豊富でパワーもテクニックもあるエマートン。しかも初戦で二人とも得点と、本当にいいスタートだった。「クロスやロングボールだけに頼らず、中盤でしっかりとパス回しをするサッカーができる」、「コールとヨーク、ジャンセンといった決定力のあるストライカーがいる」、というところで、もしかしたら優勝争いに加わることも不可能ではないかもしれない。あとは欲を言えば、ロイ・キーンやヴィエラのような、いつでもチームのために犠牲になれる強烈なキャプテンシーを持った選手が欲しいところだ。
ポーツマスのシェリンガム、サウサンプトンのフィリップスもそれぞれ「らしい」ゴールを決めてくれたし、選手個人をとってみても今シーズンはかなり面白そうだ。それらのチームも含め、バーミンガム、ボルトン、レスターといったチームが上位チーム相手に番狂わせを演じてくれれば、リーグはさらに面白いものになろう。信じられないようなゴールシーン、神懸かり的なスーパーセーブ、場外乱闘、、などなど、勝敗だけでは語れないトータルでのプレミアリーグの楽しさを、今シーズンも満喫していきたいものだ。