Ice Ninja
忍者
 アクセル・ジャンプへの道 (PART2)

パート1の終わりに書いた時点では、まだ自分のアクセルは不完全なものだった。
その後、新しく買った靴が重くてその克服により進歩した部分、セミスピード靴での
滑走から進歩した部分など色々と出て来たので書くことにした。
アクセルのほんの一部分のテクニックではあるが、オリンピック選手が持つような技を
実際に体感出来るようになってきた。(やっぱり凄い、やった人でないと分からない)

元々自分の練習方法にはこだわりがあって、そのこだわりが制約にもなって来た。
クリーンなエッジへの潔癖なまでのこだわりとエッジ・ジャンプであることへのことだわり。
アプローチ時点で回転を始めることは良くないと言われていることと、回転のスキルがない自分は
無理に回すと怪我をするだろうからという意味での回転より跳ぶことへ比重を置いたこと。
出来るだけゆっくりと重い回転をして、高速回転したい場合は、軸を絞ればいいという
考え方もあって、安全に出来る限りゆっくり、跳ぶようにしてきた。
また、トレスは、ビデオで見た感じから助走の主方向に対してほぼ垂直にエッジを回し込んで
跳ぶくらいのつもりでいた。
この中には、ジャンプをする上で間違えとも言える要素も多いのだが、概略悪い方向に
進んでしまうことは防げたと思っている。
で、そろそろ回転軸を作るために回転を絞り込もうかと考えていた時に、買った靴が重くて
今までのような振り上げ方では、回転が大きすぎて破綻する結果になりフォームを吟味することになった。
そんな中、コロネーションACEの工場出荷時のエッジの溝が13mmに近い値になっていて
しばらくこれで滑っていたところ、今までの9mmより深いエッジに乗るのに適していることが分かった。
そこで思い切って、22mmに変えたところセミスピード並に明確なエッジワークを要求される
ことも多くなるが、ループ図形を描く時に、新雪を踏み締める様にミシミシと音を立てて、
エッジが氷りを割っていたようなのが、そういうこともなくクリーンに深いエッジで図形が
描けるようになった。9mmのエッジで相当にエッジが浅くなっていたことと、氷を割ってしまうため
正しいエッジの深さが把握出来なかった(あるいは正しい深さまで傾けられなかった)と思う。
そんなとき、アクセルも深いエッジでやってみるとこれが上手く行くのだ。
靴が重くなったせいで足は見て分かるくらい一回り太くなった。この靴の重さのお陰で以前より
瞬発的な動きが出来る様になった。
セミスピードでの練習によって得たものは、自分のアクセルのフォームが手本にしたカート・ブラウニングの
フォームにかなり近付いて来たことだ。
セミスピードは、エッジがほとんど彎曲していないのでカーブしにくいため、踏み替えたりしたとき
それが正しい方向を向いていないとその後エッジに継続して乗り続けることが難しい。
適当に曲率を調整してごまかして来たのがセミスピードでは出来なくなった。
彎曲した自由度の高いフィギュアのエッジでも、最大限に力を受けられるエッジの角度は、セミスピードと
同じであり、その練習によってカート・ブラウニングのフォームに近付いたのだ。
セミスピードで踏み出してアプローチカーブに乗り切る時、やや無理なヒネリがかかるのだが、
その捻りがまたアクセルのアプローチの踏み出しに重要であった。
この捻りの練習のお陰で、自然とブラケットターンの連続ステップが出来る様になっていた。



このステップについては、エッジを22mmにしたためエッジが引っ掛かりにくくなったことも
影響していると思うが、22mmの方が明確なエッジワークが必要でありそのための足首や腰の
動きは大きくなるためかえって難しいかもしれない。
さて、つい最近のことだがこの辺りで今までやってきたことを振り返ってみようと思った。
・踏み切り足が取り残される感じがあるがなぜか
・着氷時に前傾姿勢になるのはなぜか
・くの字形姿勢の解消
・踏み込み荷重として感じるこの継続したエッジグリップ力の正体は?
・腰重心を後ろに残すと上手く行く感じになる
・踏み切り前に踏み切り足が氷についているうちにしなければならないことは
・そもそもジャンプタイミングとは
・ジャンプのきっかけは何によって得られるのか
・左側へのエッジの押えが足りないと感じた時がある
・エッジのグリップ力を最大にする方法
・ジャンプの時正しく乗ることとは
・踏み切ってから重心を踏み切り足から着氷足に移さなければならないが
・アプローチカーブの踏み出しのときにスケーティングレッグに肩を被せるとセミスピード靴の
 滑走で安定する。(唯一そうした時だけ安定してジャンプ出来る)
・セミスピード靴では、振り返ってアクセルの踏み出しを行う動作でフリーレッグになる足を
 蹴り出す時かなり深いインサイドに傾けた方が良い。
・空中での回転軸をどう作るか
・振り出す方向やジャンプ方向はどの方向が正しいのか
・踏み切った時ターン動作で腰そのものを振り込む感じにすると良いこと
・フォーワード・ループのような巻込みが必要だと感じること
・回転軸は、腕を前に振り出してヘソの前辺りに確保しなければならないような・・・
・エッジが深い程高く上がれる
・フリーレッグの振り込みタイミングが遅いのではないか
・スケーティングレッグに余分に乗っている感じで、方向がズレてしまう感じ
・足首は固定すべきか、能動的に捻って使うべきか
・ジャンプの直進成分と回転成分の把握の仕方
・スリー・ジャンプとどこが違うのか
・どの筋肉をどれくらい鍛える必要があるか
・スピードを変更するとどういうパラメータをどう変えなければならないか
・ゆっくりと正確にできれば、スピードを出して瞬時に行った時同じ結果が得られ易い
・思い切って瞬時に振り出すと案外何も考えなくても上手く行く傾向がある
・早期に巻き込むと十分な高さが得られない
・他の人のフォームを参考にしても、何に着目すればいいのか分からない
・フリーレッグを振り出すというより予め引いておく大切さ
・ジャンプ時に重心が浮かない様に押し込む感じが良いと実感したとこがある
・フリーレッグを振り上げるという考え方そのものが間違いである可能性
・その他偏ったり、悪い癖がついていないか
・恐怖心でやるべきことが出来なくなってはいないか
・発想が安易になっていないか
・良い意味でのスリルを感じなくなっている怠慢
・トレスを交差して乗り越えるという発想
・重心を出切る限り内側に押し込むという発想
・自分のエッジグリップ理論(重心位置と回し込み)
・スケーティングレッグが向く方向を正しい(未知の)アプーチカーブに正確に合わせるように
 フリーレッグの緩やかな回転でその向きを制御するような・・・
・最初、回転軸は踏み切り足の臑に作ろうと思っていたが、踏み切り足の腿の付け根の関節に
 なければならないのではないか
といった感覚的なものや疑問などを列挙して、それぞれについて吟味したり実際に確認したり
ということを繰り返してその約90%は解決出来たと思う。
まあ、何のことか分からないだろうけど、これくらいのことは考えてやっているということだ。
もちろん、考えないで自然な思いつきでどうするか自分を客観的に観察していることも多い。
原理的には、間違っているにしてもこれかこれくらいが思い付くというくらいには絞れているが、
この段階まで来るとフォームもかなり近付いて来たので、お手本に穴が空くくらい繰り返し見て
イメージ・トレーニングするのが良い。
それでも、正しい踏み出し量や角度を探り当てるのは難しい。
ヒントとしては、十分なエッジのグリップ力が必要なことと、それが一瞬ではなくて、
踏み切り時に1秒程度持続して氷を押せることが望ましいということだ。
フォームが近付いてくると、まぐれで出来る様になりその回数も増えてくる。
しかし、原理的な指針がないと近付けることすら困難だろう。
そんな中、従来から自分がヒントにしていることが案外有力だと思う様になって来た。
インサイド・アクセルの際にS字カーブからのアプローチが非常に有効だったのだが、
アクセルでも同じことは感じていた。ただ、それがどう良いのかが分からなかったので
うまく応用出来なかったのだが、カート・ブラウニングのアクセルの踏み出しは、
踏み出し時点でインサイドに踏み込んでいるように見えて、踏み出した時には
不思議と深いアウトサイドに化けているような感じなのだ。
単に不思議で映像を見ただけでは不可解な謎だったのだが、要するに踏み出し時に
チェンジ動作をしているということになる。
S字カーブは正にチェンジであり、そこに共通点が見出せた。
コンパルソリーでは左だが、アクセルでは右のような感じ。



そして、その際に何が影響しているかを考えると、それはフリーレッグではないかと思った。
以前、元インストラクターの人に指導してもらった時に、後ろというより円の内側の横方向に
ぐっと押し込められた恰好にされた。スケーティングレッグと点対な感じ。
しかし、指導の通りやってもとても扱い切れる引き方ではなかった。
ここに来て、同じようにフリーレッグを引いてS字カーブを滑走してみると、適度にチェック
すればフリーレッグがアプローチカーブに添って良い角度に保たれることが分かって来た。
その時、S字の出口でスケーティングレッグの立てた膝で円錐を描く様に捻り込むことで
前に被せた肩重心がいつの間にか深いエッジで右に傾けたエッジにかかってグリップ力を
強力に保ったまま正しく乗れる様になった。
そのカーブは、ワインのテイスティング・グラスのカーブを思わせるようなものだった。



猫が足元に首を擦り付けて来るような感じのエッジワーク。
やや重心を前に保つ必要もあるが、正しく乗ってそのカーブに入ると、初心者がツルンと
転んでしまうくらいの滑らかさで加速感があって、そのまま空中に放り出されるような感じになる。
この感覚がたまらなくいい。100%の力をエッジで受けるのではなくて、捻り込みながら
前にツーッと抜けて行く感覚が大切だ。
このワイングラスカーブを描くには、時計回りで下図のように足を構えて踏み出す感じになる。



滑走方向の後ろ側にエッジを当てる様な感じになるので何か不思議だ。
これはループ・ジャンプでやってきたことと同じなのだが・・・
どちらも、エッジを氷に押し付けるのにフリーレッグが大きな役割を果たしていると言える。
実際、時計回りのアクセルでは、RFOのループ図形の動作と良く似ている。
このループ図形も、フリーレッグを後ろというより右方向に強く引いておき、前に出すというより
右から左に持って来るときに効力を発揮している様だ。ちなみにフリーレッグはその後、
スケーティングレッグを追い越して回し込まれる訳だが、極のところで並んで追い越すことになる。
これがアクセルジャンプのフリーレッグの振り出しと完全に一致する。
ちなみに、極通過後に回り過ぎない様にチェックするためには、予め強く肩を右に捻っていないと駄目。



フリーレッグのチェックでエッジをカーブに対して正しい向きに当てるイメージ。



アクセルの漠然とした図形イメージ。緑がフリー・レッグ、青が重心。



ある程度スケーティング・レッグに肩を被せた正しい乗り方で、揺りかごのような揺動踏み替え滑走。
強力なエッジグリップが得られる。例えば、右に傾いた体を左に傾けると腰を中心にZ軸回転したと
考えられるが、その時エッジは強力に右に押し付けられる。右図が強力



2004.11.23

今までは、スケーティングレッグの踵から臑までのほぼ垂直な軸を使った振り込みを
イメージしていたが、最近はそれが変わって来た。
何がどう変化したかというと、フォーワード・ループをスムーズに曲るコツを得たので、
それをアクセルに応用してみたところ、自分の重心の構え方が後ろ過ぎたようなのだ。
踏み出した時に肩を出来る限り右前に押しやって、それを肩を起こすことで後方に引く様にして
体の軸をスケーティングレッグに合わせて円錐状に動かして行く感じ。
これによって強く体を右に倒すことが出来る様になった。
体を右に倒すには、肩をかなり前に出さなければならなかった。
また、背筋を曲げるとその効率を著しく下げてしまうようなのだ。
この進歩で、フリーレッグの振り出しタイミングをかなり早めることが出来る。
フリーレッグは、前に力強く振り出している様に見えるのだが、やはりこれは錯覚で
右後方に構えて、下向きに氷りに振り下ろす感じが正しいと思う。
その振り降ろしの力をエッジが100%受けてジャンプ出来ればかなり力強い。
今までは、フリーレッグが右足のふくらはぎの上を掠める様に通過する感じのイメージだったが
振り込みタイミングが早くなったため、先に腰が回転してふくらはぎを迂回するような
感じで邪魔にならなくなった。
また、回転軸が少し後ろに移動して、大振りしなくなったため、軸が細くなり空中で体を
伸ばせる様になって来た。既に1回転半は楽に回り、ほぼ2回転の回転は得ている。
当面の課題は、アプローチカーブに重心を添わせて踏み切り時間を伸ばしたいのと、
ランディング姿勢で右足を左腿に巻き付けるような感じにして回転をチェックする
フォームを得たい。

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