Ice Ninja
忍者
 姿勢について

私の経緯など

 4年くらい自由に滑ってきて、ジャンプやスピンなど色々やって来た。
 最初は、踵を後ろに引いて姿勢を真直ぐ伸ばしたような姿勢が最も滑らかに滑れると感じていた。
 ストップを本格的に身につけたり強いプッシュによる滑走を一蹴りでどれだけ加速出来るか追求すると
 重心の浮きが問題となった。
 また、元インストラクターだったという人に教えてもらった、ちよっと古いフォームは、
 フィギュアスケートのフォームとして教わったが、まるでスピードスケートみたいなフォームだったが、
 これは非常に利用価値が高いものだった。
 その辺りから、経験を踏まえて書いてみる。

乗り位置の問題

 スケートのバランスを2つに分けると、前後バランスと左右バランスに分けられると思う。
 その前後バランスを決めるのが乗り位置だと言える。
 貸し靴仕様の踵が低いフィギュア靴から、踵が高い選手用フィギュア靴に変えてから、
 靴下が下のように磨り減るようになった。

 

 現在では、普段裸足で床を歩く時も踵をついていないことが多い。
 4年くらい滑ると落ち着くだろうと考えていたが、やはりこのフィギュアの乗り位置に落ち着いた。
 実は、スピードスケートも基本的にこの辺りが乗り位置になるらしい。
 乗り位置をここにするためには、根本的に姿勢を工夫しなければならない。
 初心者は、ちょっと猫背で後ろに転ばない様にする感じで、乗り位置を変えろといわれると、
 同じ姿勢を硬直させたまま体を前に倒したり後ろに倒したりして調整しようとする。
 しかしこれでは全く乗り位置を調整したことにはならないのだ。
 フィギュアの乗り位置は、片足滑走の場合の乗り位置で、前進のV字ストローク、前進クロスオーバー
 などでは、踵に重心をかけるのが正しいようだ。その方が、細いラインを保って強く氷を押せる。
 重心がきちんと乗っているとジャンプで蹴った時、足のバネで体を効率的に持ち上げることができる。
 踵をついて歩いている猫は見たことないように、運動性を重視すると足首のバネも使うことと、
 膝のバネを有効に働かせるためにも足首のバネが重要になるということだ。
 この乗り位置は、アクセルの実験滑走・ジャンプでその有効性が実感出来ている。
 また、通常トウピックを使って跳ぶと言われるバニーホップもこの乗り位置に肩の重心を被せて
 膝のバネで跳ぶと、非常に高く跳ぶことができる。

姿勢の問題

 スケートを始めるにあたって、正しい姿勢を身につけたいと思ったが、どうもどれも怪しい。
 良さそうだと思うものはあるが、理論的に納得出来なかった。
 そこで、最初はやや前傾が良さそうだということで、あまり良くないとは思いつつも猫背でしばらく
 滑ることにした。その後、色々なことをするうちに正しい姿勢に落ち着くだろうということで
 次第に収束して行くのを待つことにした。
 そろそろ答えが出たと思うので、持論を述べる。
 下図のA〜Eまでの姿勢を考えた。

 

 さて、どの姿勢が良いのだろうか。
 まずEだが、これが猫背。
 踵位置に重心が来ているので、初心者の頃は都合が良かった。
 Aは、一部の人がフィギュアスケートのフォームとして良いと思っているもの。
 Bは、Aのフォームを深くしたもので、お腹を前に突き出さないと重心が後ろに来る。
 若干腰が引けたような形になってしまう。
 だから、フィギュアのフォームは、なるべく棒立ちで腰が引けない様にお腹を突き出す・・・
 というのが、通説になっているような気がする。
 Cの姿勢は、Bの姿勢で背筋を真直ぐ伸ばしたもの。
 実は、これが最も腰が引けた悪い姿勢となる。
 私が推賞したいのは、Dの姿勢なのだが、一見して悪いCの姿勢と変わらない。
 姿勢と動きの制御という観点で考えると、背筋は真直ぐにしていた方がコントロールが容易だ。
 A、Bのフォームは、反らしているので猫背よりは良いが、それでも迅速に制御しようとすると不満が出る。
 私の感触では、基本的に真直ぐで若干反らしぎみというのが良いと思う。
 猫背にならないようにするには、胸を張るというのが良いと思う。さらに背中の腰の部分に手の甲を当ててみたり。
 バッククロスオーバーで腰が引けている姿勢ということに関しては、「関西学生フィギュアスケーターの世界」の
 Webページや佐藤信夫コーチの著書などで悪い例として解説されているが 深い前傾姿勢でお尻を突き出して
 滑っているのは、腰が引けた悪い姿勢なのかという疑問があり、長い間解決しなかった。
 私が競技会のトップクラスの選手の演技を見て、滑走に伸びがあって良いと思うのは大体そういうフォームなのだ。
 ここで、CとDを比較してみよう。
 同じ様に見えて、一つは腰が引けた悪い姿勢、もう一つは、私がベストだと考える姿勢。
 この大きな違いは、足首にある。
 フィギュア靴は、足首をガードするために、基本的に足首が曲げにくくなっている。
 トウループを跳ぶには、その方が望ましいと感じるのだが、こと滑走に於いてはそう思えない。
 靴の足首の曲げにくさが、姿勢に悪影響を及ぼしているのではないかと思う。
 Cの腰が引けた姿勢というのは、急な制動をかけようとしたとき、重心が後ろギリギリに来ているため
 肩を後ろに引いたり体を立てて伸ばそうとした時、後ろに傾いてしまう。
 このため、非常に不安定な姿勢だと言える。
 ところが、Dのように足首を曲げていると、重心は十分に前にあり、肩を上方または後方に引いても
 膝を軸にして腰を沈めることが可能となり安定する。
 元インストラクターにこの姿勢を教わってから、ストップが不思議と安定する様になったのだ。
 フィギュアスケートで、捻りによる制動を効果的に行うためには、肩と腰を対称的に重心軸から
 離しておくことが望ましい。振り込み動作を大きく取れるのだ。
 しかも、ギザギザに折れた姿勢であっても重心軸は乗り位置にきちんと定まっているから、
 ターンしても軸はブレない優れもの。体を深く曲げても浅く伸ばしても乗り位置を一定に保ち
 姿勢を維持出来るのだ。
 フィギュアの重心軸は、フィギュアの乗り位置と肩重心(心臓の位置辺り)とを結んだ直線だと思う。
 初心者の頃、踵を後ろに引いた姿勢が良いと感じていたのも、足首を曲げることで、ここに統合されて
 納得の行くフォームが得られたと思っている。

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