シドニーオリンピック2000
アジア地区最終予選グループC
U−22カザフスタン代表 対 U−22日本代表

1999年10月8日(土)18:00キックオフ(日本時間)
アルマトイ中央競技場(テレビ観戦^^;)

最終予選の日本の初戦はカザフスタンにおけるアウェー戦となった。

カザフスタンという国が中央アジアに存在するということを知ったのは、'98フランスW杯のアジア地区2次予選のときだった。
当時、1次予選でイラク代表を圧倒したという情報が先行し、またそれ以外の情報が殆ど伝わって来なかったため、カザフスタン代表は全くヴェールに包まれていた状態だった。
しかし、2次予選が始まり、韓国代表との初戦を1対4で大敗した時には、「取り越し苦労だったか」と、警戒体勢を緩めた感があった。
確かに当時のカザフスタン代表は、1次予選を戦ったロシアリーグ在籍の主力メンバーが挙って欠場しており、他の国の代表チームと比べて、技術的に一歩劣っていたのは否めないだろう。
ところがこのカザフスタン代表は、この2次予選において、アルトマイで行われたホームゲーム全4試合を無敗で終えている。
日本代表も、完全に圧していた試合をロスタイムの失点で同点にされ、加茂監督更迭の決定打となったことを思い出す向きもあるだろう。

今回の試合で一番の敵は「アウェーの地」であった。

ただ、カザフスタンという国に行ったことはないので、その気候がどういった感じなのか、サッカーがどれほど根付いているのか詳しいことはわからない。
報道される情報を聞いてみると、気候は涼しいらしく、サッカーを行うには適していることは分かっていた。
また、スタジアムの観客席を見ると意外に空席が目立つので、日本で行われる代表の試合のような圧倒的な「アウェー」という感覚も、あまり感じられないだろうとも思っていた。

しかし、これら不安材料を解消する情報をもリセットしてしまう大きな問題があった。
もちろんこの問題は、試合前から知られていたことであり、それは先の'98フランスW杯アジア2次予選を日本代表がアルトマイで戦ったときにも話題に挙げられていた。
そうすると試合を観戦するにあたって、自ずとそこに視点は集中する。

ボールの弾み方。
状態のよい芝なら、ボールを蹴った際に、芝の上をすべるような転がり方をする。よって観ていると、グラウンダのボールは全く弾まず、真っ直ぐに進む。そしてボールの起動の予測が容易につくから、思い通りにパスを受けることができる。
トラップしたボールを足元にピタリと止めたり、足にボールがくっついているようなドリブルが可能なのは、「良い芝」の賜物なのだ。
しかし、このスタジアムではボールが不自然に弾んでいた。

綺麗な緑の芝に覆われているとは言え、グラウンドの状態が凸凹なのが誰の目にも明らかだったのではなかろうか。
試合後の選手のインタビューでも「グラウンドの状態が悪かった」ということを口を揃えたように言っていたし、シュートミスやトラップミスは、その殆どが「予想外のバウンド」に起因しているようだった。
一方カザフスタン代表も、このあたりをきちっとやっていた訳でもなく、それなりに苦労していたようだ。ただ、短いパスを速く繋いでいこうとする日本に対し、カザフスタンはロングパスを多用していた分、このグラウンドに対する「慣れ」が感じられた。
ペナルティ・エリアの外からでも、ミドルシュートをどんどん打ってくるカザフスタンの特徴も、もしかしたらこうした点から必然的に出来上がっていったのかもしれない。

当然、芝の善し悪しでそれまで培ってきた戦術を変えることは出来ないだろうし、変えようともしないのかもしれない。
しかし前半25分に決まったヒデのゴールが、相手のマークの隙をついたロングシュートだったことは、グラウンド・コンディションの悪い場合の戦い方の基本を裏付けているようにも思えるのだが。

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