悲壮感とフラストレーション
駒場競技場に行ってきた。
J2に降格してもレッズのホームゲームは毎試合満員で、チケットの入手が困難な状況は相変わらず・・・だったのは開幕戦と埼玉ダービーとなった2戦目だけだった。
そんなわけで試合前日の土曜日にローソンでチケットを購入することができ観戦してきた。
俺自信、レッズファンであることは動かし難い事実なのだが、スタジアムに足を運んだときでも「応援しに行く」という感覚はあまり無い。当然チームを応援する気持ちはあるものの、それよりも単に試合展開、選手のプレーぶりを見に行っているのだ。だから、フィールド全体を見渡せるサイドライン方向の席に座ることが多い。テレビ中継の映像を思い出してもらうと分かりやすい。あれと似た映像が眼前に広がっているイメージだ。
ところが今日スタジアムに着いたときには、望むエリアに空席が無くなっている状態で、空きを探し回った挙句、サポーター席(ゴール裏)のど真ん中で観戦する羽目になってしまった。
レッズ戦は、なるべくならゴール裏では見たくない。
なぜならここのエリアには、ライブハウスにパンクバンドのステージを見に来たようなノリの人が集まっているのだ。俺などが足を踏み入れたところで、ちょっとノリについて行けなかったりする。なにせ彼らは、ピョンピョン跳びながらリズムを取り、応援歌を歌いながら、それに合わせた手拍子をし、さらに「行け行け行け」だの「逆サイド!!」だの声をかけながら拍手も怠らないと言う離れ業をやってのけるのだから。

もちろんスポーツ観戦なんていろいろな立場があるはずだから、このライブ感覚的な観戦も否定する気は全くない。
ただ俺が思うのは、リーグ戦のような長丁場になるものと、ワールドカップのような比較的な短期の大会とは応援のし方も変わって然るべきだということだ。
リーグ戦で求められるのは、シーズンを通して安定した試合を継続できることであり、そのひと試合ひと試合においては、確固たる戦術でもって相手を寄せ付けない「横綱相撲」を実践することが理想ということになる。つまり「良い試合」が求められる。
逆にワールドカップのような大会では高いパフォーマンスを維持し勝ち続けることが求められる。
ワールドカップなどでも「横綱相撲」をすれば文句はなさそうだが、「ワンチャンスで相手にゴールを割られそのまま0対1で敗北」などということもあり得るわけで、そんなことになれば、その時点で戦いの地を後にしなければならない。故に勝負が第一ということになる。
だから年間40試合にも上るJ2においては、良いプレーをした選手に拍手を送り、できればチーム戦術にも目を向けて「良い形」に対しても声援・拍手を送りたいものだ。
勝負が最優先される場合には、多少感情的になっても致し方ないと思う。「絶対に負けられない試合」「絶対に勝たなければならない試合」というのは必ずあるし、そういう試合を勝利することで真の経験を手にすることができる。であれば、サポーターは勝利を求めて必死に応援するべきなのだろう。
しかしレッズサポーターの悲壮感も漂った応援のし方を見ていると、先に述べた後者の応援方法のような気がして窮屈に思えるのだ。

今回、望んだ席が確保できなかったにせよ、いままでは入手困難だったチケットを買うことができた。
浦和レッズ創設以来、今シーズンに入って初めて前売りチケットが売れ残ったためだ。浦和レッズのスタッフはこの事態を「J2に降格した影響」としているようだ。
だが本当にそうだろうか。
少なくとも俺は、レッズが良いパフォーマンスを続けていれば、例え相手が格下であろうと毎試合でもスタジアムに足を運びたいと思っている。しかし今シーズンのレッズは、実にイライラの募る試合しか出来ていない。今日も全く攻撃の活路を見出せない試合内容にイライラの連続だった。
ゴール裏のサポーター達の小刻みに飛び跳ねながら「The Grate Escape」を歌っている姿が、溜まって行くフラストレーションを解消させる行為に思えたのは、決して不思議なことではないだろう。
サポーターのイライラ感と悲壮感は、実は密接に関係しているのかもしれない。

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