3-0というスコアに見る悲観論
最初に断っておくが、今回のレポートは何の主張も意見も述べない。
ただ、ひとつのサッカーの試合の結果を知って囚われた、ひとりのレッズサポーターの悲観的な感情を述べるだけである。

思えば、'94ワールド杯アジア予選でのドーハの悲劇や、浦和レッズのJ2降格などを目の当たりにしても、「悔しい」「残念」とは感じたが、悲観的になったことは無かった。
しかしこの日、試合結果のスコアを見た瞬間、ただただ悲観してしまった。

4月12日、2000Jリーグ・ヤマザキナビスコカップ1回戦9試合が行われた。

JリーグはJ1(1部リーグ)・J2(2部リーグ)の2部構成になっており、ナビスコカップは1回戦でJ1とJ2が当たるように対戦表が組まれる。
そえゆえ(実に短絡的な考えなのだが)、「J1のプライド」と「格下が故のJ2の意地」とがぶつかり合い素晴らしい試合が見られるのだと思っていた。
特に1回戦の注目カードである川崎フロンターレ対浦和レッズ戦は、J1で16チーム中14位に低迷するフロンターレと、J2降格後も戦力を落とすことなく開幕から無傷の5連勝と波に乗るレッズという両チームの状況を考えても、「レッズ有利」という予想を立てるにはさほど困難を要することではなかった。
また「J1のプライド」よりも「J2の意地」の方が、試合に臨む上でのモチベーションは高いだろうと考えていた。
その考えが正しいことを裏付けるかのように、浦和レッズの“野人”ことFW岡野雅行が試合を前にしてこんな発言をしている。
「最初から出て、自分が試合を決めるつもりでやる。レッズのプライド、強さを証明できるチャンスですから。」

試合結果、川崎F3−0浦和。

サッカーにおける0−3というスコアから受ける印象は「完敗」という二文字が相応しい。
これがJ1同士の試合ならば「まぁ、そんなこともあるさ」と軽く受け入れることも出来たのだろう。
また長いリーグ戦であれば、チームの好不調の波があり優勝候補筆頭のチームでも思わぬ大敗を喫することもある。
しかし、1部リーグと2部リーグという明確な格付けをされた場合ではそうはいかない。今回の「完敗」は「全く歯が立たない」という意味に捉えられてならないのだ。
いくら2部リーグで首位を独走していても1部リーグでは全く通用しないのだ。2部で勝ち続けて優勝しても、どれほどの意味があるのだろうか。1部に上がったところで、また、、、。
こんなことを考えてしまった。今までに感じたことの無い「悲観」という感情だった。

これは、何もレッズに限ったことではない。
3年前の話になるが、当時Jリーグのヴェルディ川崎に所属していたMF長谷部茂利が、JFL(当時のJFLは今で言うJ2に相当すると俺は考える!)の川崎フロンターレにレンタル移籍し、移籍初戦を大勝したことがある。試合後のインタビューで長谷部は
「(JFLは)レベルが低いからこれくらいはやらないとね。」
と発言したそうである。
欧州各国では、1部リーグ所属チームと2部リーグのそれとの間には大きな差はなく、2部リーグだからと言ってさほど下には見ない。だから先の長谷部のような発言は許されないし、それ以前にそんな発言などあり得ない。しかし、日本ではこんなことが違和感無くまかり通ってしまうのだ。
日本に根付いた問題なのだろう。

今日のこの試合にレッズは、小野、阿部、ペトロビッチ、ピクンといった攻守の主力を欠いていた。
そのことが唯一の救いである。

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