アジアカップ2000予選第10組 日本代表 対 マカオ代表 
とてつもなくスローモーな展開で退屈な試合だった。
アジアカップ2000予選の第10組、日本代表対マカオ代表戦は、そのボールが動くスピードからして「20年程度遡ってしまったのではないか?」という印象を残して終了した。
20年前のサッカーは足で蹴ったバックパスでもキーパーは手を使って保持することが出来たし、6秒ルールも存在しなかった。それゆえ試合終了が近くなると、勝っているチームは安全なエリアでボールをゆっくり回し出すのだ。
そうして試合が終了すると「もっと攻撃が見たかったのに」という印象が残るのは、ごく自然なことだろう。
まさにそんな試合だったのだ。

こうなると邪推ばかりが浮かんでくる。

 「1対1で相手と対峙した際、勝負しないのは自信がないからなのだろうか?」
 「そこで突破に失敗してボールを奪われるのが怖いのだろうか?」
 「そういうミスをしたら、代表から外すとでも言われているのだろうか?」
 「前にスペースがあるのにバックパスをするのは、実は視野が狭いだけなのではないだろうか?」

と、もうキリがない。
こんなことを考えていると監督批判へと繋がり、しまいに日本サッカー協会の批判へと発展していきそうだ。
あれあれ?それって、98年のフランスW杯後に起きたことだな。2年前と何ら変わってないってことは無いよな。それは無いとしても、ものすごい危機感に捕らわれ始めたのも事実だ。

「日本は2002年のW杯開催国として相応しい代表チームを作ることができるのだろうか。」
(過去、W杯開催国の代表チームが本大会の一次予選で敗退したことはない。開催国として相応しいとはこの意味です。)

そんな中でも際立って良かった存在もあった。単に周りの動きが悪かったせいで、相対的によく見えたのかもしれない。しかし彼だけは、周りの選手が相手にボールを奪われないことを前提にした安全なボールさばきをする中で一人、ゴールを頭に描いて常に攻めていた。
中村俊輔だ。
今の日本代表に最も必要なのは、彼のような「突破しようというイメージ」ではないだろうか。
俊輔ほどのイマジネーションとスキルを持ち合わせていれば、このまま日本にいるのはもったいない。
海外でそのスキルをさらに磨いてもらって、、、。

ちなみに俊輔の移籍金を計算すると、、。
(移籍係数:7.5【注】)×(推定年俸:2400万円)=1億8000万円。
今年の6月24日で22歳の誕生日を迎えるから、移籍係数も下がり1億5000万円程になる。
ヨーロッパ諸国の各リーグはオフシーズンを迎え、次期のチーム作りを開始する時期だ。
今年の秋にはシドニー五輪があり、そこでの活躍を見てからでは、競争の原理により移籍金も跳ね上がる可能性がある。
ここはひとつ、俊介をサッカー界のヤフー株と捉えてもらって。1億5000万円なら安いと思うのだが。
俊介はこの夏が買いどきである。


【注】移籍係数 原則的に移籍は自由だが、移籍金を払って補償しなければならない。移籍金はその選手の前年の年俸に、年齢ごとに定められた係数を掛けて算出する。この係数を移籍係数という。係数は年齢別に6区分され、16歳以上21歳以下が最も高く7・5で、年齢が増すごとに下がり、34歳以上はゼロ。

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