しんしんと雪が降る。
 
窓の外の雪を一人見つめる。
 
暖房がついた暖かい家の中、ただ窓の外を見つめる。
ごちそうの用意は出来た。後は暖めるだけ。彼女が帰って来たら暖めよう。
 
窓の外の雪を一人見つめる。
 
ふと、昔のことが思い出された。
あれは確か、ダイバーランドでの初めてのクリスマス。
ほとんどベッドの中で過ごしていたこの日。でも、ダイバーランドの医療機関のおかげで、久しぶりにその日はベッドの外でクリスマスを過ごせた。
その前にベッドの中以外でクリスマスを過ごせたのは、まだ父さんの母さんも一緒の時。
あの時も、雪が降ってた。
 
 
「わぁ、見てショウ、雪よ」
「ホントだ・・・キレイ・・・」
「今日はホワイトクリスマスね」
姉さんが嬉しそうにボクに微笑む。
ボクもそれに笑顔で返そうとしたけど、出てきたのはせきだった。
そんなボクに、姉さんは笑顔をたちまち曇らせて心配そうな顔になる。
「大丈夫?ショウ?」
「大丈夫だよ、お姉ちゃん」
ボクは今度こそ姉さんに笑顔を返す。
それに姉さんも少し安心したようで、少し笑顔が戻る。
「やっぱり、病院にいた方が良かったかな。雪も降って来ちゃって、寒いし・・・」
姉さんは窓の外を悲しそうに見つめる。
この時はまだ、ボクは入院中だった。状態も回復に向かっていたので、その日は特別に外出許可が貰えたのだった。
「ただ、せっかくのクリスマスだから、ショウも外で過ごした方が・・・ううん」
姉さんがゆっくりと頭を振る。
「私が・・・ショウと家で過ごしたかっただけか・・・ゴメンネ、ショウ」
姉さんがしゃがんでボクと目線を合わせ、悲しそうに笑う。
姉さんの笑顔は好きだけど、悲しそうな笑顔は嫌いだ。昔も、今も。
ボクは、姉さんの手をぎゅっと握りしめる。
まだ小さなボクの手では、姉さんの手を包み込むことが出来ない。
「ボクも、お姉ちゃんと一緒にクリスマス過ごしたかったよ。この家で」
引っ越してきたばかりで、ずっと入院していたボクにとってはまだなじみの無い家。でも、姉さんはダイバーランドに来てからずっとこの家で暮らしてきたし、ここはボクと姉さんの家だ。ボク達が住む家だ。ボク達が住んでいく家だ。
「ショウ・・・」
今度は悲しくなさそうに笑う。
ボクの好きな笑顔で。
ボクもそれに笑顔を返す。
心からの笑顔を。
 
しんしんと雪が降っていた。
 
窓の外の雪を二人見つめた。
 
 
「ショウ!?」
突然聞こえてきた驚いたような声に、ボクは目を覚ます。
いつのまにか眠っていたようだ。目を開けると、そこには眠る前のまま、雪が降っているのが見えた。
暖房はついたままだったけれど、体が少し冷えていた。
「今日は遅くなると思うから、先に寝ててって言ったでしょ」
姉さんは駆け寄ってきて、冷たくなったボクの手に息をかけて暖めてくれる。
マジカルゲートに異常が起こり、姉さんは最近ずっと帰りが遅かった。クリスマスに一緒にいれそうに無いことを、前からずっと謝っていた。今朝もそのことを言って家を出ていった。
でも、ボクは待っていたかった。
「せめて、もっと暖房の近くにいればいいのに」
何でこんな窓の近くに。
姉さんが雪の降る外へと通じる窓を見る。
時計を見ると、11時だった。普段はもう寝ている時刻だけれど、まだ時間はある。
「メリークリスマス、姉さん」
「え?」
姉さんが驚いたように、視線をボクの顔へと移す。
ボクは笑顔でそれを迎える。
姉さんは少しそのままぼうっとしていたけれど、すぐに
「メリークリスマス、ショウ」
そう言ってボクに笑ってくれた。
「ごちそう、用意しといたんだ。食べよう」
ボクはキッチンへと駆けていった。
後ろで、姉さんもこっちへと来る気配がある。
僕はすぐに追いつくだろう姉さんのために、ごちそうを暖める準備をした。
窓の見える場所でこれは食べよう。
二人で。
 
 
しんしんと雪が降る。
 
窓の外の雪を二人見つめる。
 
 
 
 

Merry X'mas


 
 



クリスマス・・・一ヶ月以上前です。
でも書きたかったので書いちゃいました。好きです倉知姉弟vv
 
倉知家ってどうなってるんだろう?勝手に両親殺しちゃったv(←死)
でも本当に???
<勝手にMy設定>
 ・ショウさんがちっちゃい時に両親死亡。
 ・ダイバーランドに来たときはショウさんとレナさんの二人だけ。
 ・保険金とか結構たくさんあった。普通に生活できるぐらい。
 ・でもショウさんの治療代もあったりで結構ピンチ。
 ・ショウさんの世話したりでレナさん高校と大学行くの止めようと思ってたけど、ショウさんがそれを説得。
 ・今じゃレナさんワールドリンク管理局で結構いい位置につき、大忙し。
こんな感じv(←また死)