目覚め ”啓介編”


アニキのコトが好きかもしれない・・。

そのほのかな想いが日に日に膨らんで、

アニキのコトが好きだ。

になるまではすぐだった。


気がつくと、涼介の姿を追ってしまう。

何をしていても、涼介は綺麗で、カッコイイのだ。

男なんだから、カッコイイのは当たり前だ。
けれど、涼介にはえもいわれぬ(笑)色気があった。

啓介の熱い視線に堪えかねたのか、涼介が

大学に泊まり込んだまま帰らない日々が続いた。

「アニキ、今日も帰らねェつもりかな・・?」

年上のくせに、パシリのごとく、呼び出しをくらった史浩が
苦笑いをした。

「あのなぁ、啓介・・」

「オレ、アニキが好きみてェなんだ。」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

もともと面白い顔の史浩の顔がさらに面白い顔になった。

ヒーヒー言いながら啓介が笑い転げる。

そんな場合じゃないというのに。

「け・・い・・・すけ・・・?それマジで言ってるのか?」

「じょ・・だんで言う・・・かよ・・・はっ・・くるしっ・・・!」

啓介はまだ腹を抱えて笑っていた。

ごん、と頭に拳固をもらって啓介が頬をぷくっ、と膨らませた。

「い・・ってぇな!殴ることねェだろ?」

「ふざけたことばっかり言ってるからだろ!!」



ふいに、真面目な顔になって、

「笑うしかねェよなぁ・・。実のアニキを好きだなんてな・・・」

ため息をついた。

(マジだったのか・・・)
史浩はガックリと肩を落とした。

もともと、涼介は男に異様にモテる方だったが、
実の弟にまでモテてしまうとは・・・美形って大変なんだな・・・。

なんて、のんきな考えを巡らしてしまった。

「史浩!聞いてンのか?」

肩を揺すられてハッ、と気がついた。

一向に話が進まない。

それでなくても涼介の参謀として手足のごとく使われているのに、
啓介にまで頼られてしまう自分の人の良さに呆れるのは、
こんな時なのかもしれなかった・・・。


「オレ、どうしたらいいと思う?」

どうしたらいい、と聞かれても、そのケのない史浩には分かるわけがない。

恋愛の問題は当事者達が解決すべきコトじゃないか。

そう思うものの、

(兄弟で、男同士なんてなぁ・・・)

うーーーん。

「史浩ぉおおお!!オレ、どうしたらいいんだよぉおお」

いつの間にか啓介は自分の体を思いっきり揺さぶっていた。

これではまとまる考えもまとまらない。

「け、・・啓介。これはお前達二人の問題だろう?」

うんうん、と啓介がうなずく。

「まず、涼介と話し合ってみたらどうだ?」

それを聞いて、啓介がしゅん、とした。

「だって、アニキが帰ってこねェんだ・・・」

「そっか・・・じゃ、様子を見て、涼介を迎えに行けばいいんじゃないか?」

さすが史浩。当たり前のことを言っているだけなのに、説得力がある。

「分かった。史浩、サンキュー。」

喜ぶ啓介のかわいいこと、かわいいこと。

「まあ、まだ啓介も若いんだし、間違い、ってコトもあるかもしれないしな・・」

ぽつり、と漏らした言葉のせいで、史浩は再び揺さぶられたのだった。




「アニキ・・・」
不安げに大学の門で待っていた啓介が、涼介と仲良く帰っていくのを
見届けた史浩は、やれやれ、と汗をぬぐった。(すっかりオヤジである・・)




数日後、一段と麗しい微笑みを浮かべる涼介と、ピカピカの啓介を
目の当たりにした史浩は、複雑なため息をついたのだった・・・。




これ、啓介編じゃなくて、史浩編ですね。(笑)
ハッピーエンド、で良かった(・・・ほっ)
私が小説書くと、まず暗いのが出来てしまうので。(笑)
この話、どっちが受かわかんなくなりますね。(爆)

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