最後のKISS 【2】




<アニキのラブラブ大作戦!編(笑)>

拓海との愛の前に、大きな壁が立ちはだかっていることが判明した高橋涼介は、(涼介だけだろ・・)
豆腐アレルギー克服の対策をねることにした。
もちろん、彗星様に不可能なことはないはず・・・だったのだが・・・・?



「アニキー。いい加減豆腐とにらめっこすんのやめたら?」

毎日ごほごほと、咳き込みながら(脂汗まで流して)豆腐を見つめている涼介の
姿に耐えきれず、啓介が言った。

それだけではないのだ。

毎日毎日、朝晩の食事に必ず豆腐が登場するのだ。

さすがの啓介も、毎日毎食豆腐ではたまったものではない。

「アニキ。アレルギー、余計にひどくなったんじゃねぇ?」
(ちょっとイジワルを言ってみる)

「・・・そうか?」

ギクりとしながら、涼介は答えた。

豆腐と過ごす毎日に、涼介はもうフラフラだった。

「啓介。オレはこの程度でへこたれるヤワな神経は持ってい・・な・・・・・」

「アニキッ!!」

涼介の上体がグラッと傾いた。


遂に涼介がダウンしてしまった・・・。





「啓介さん。・・・・・・涼介さん、どうして会ってくれないんですか・・?」
「・・・具合でも悪いんですか?」

不安げに拓海はため息をついた。

ダウンしてしまった、涼介の代わりに(拓海のラブコール)携帯に出た啓介は、
学校帰りの拓海と会っていた。

まさか、「アニキは豆腐アレルギーだった。それで、毎日豆腐食って倒れた」
なんて言えるワケがない。

苦笑いをしながら、啓介は、

「アニキは、ちょっと、今会えねェんだ。」

「どうしてですか?」

「だから、今はダメだ。」

「・・・・・・・・・・・・・他に好きな人でもできたんですか・・・」

目をそらしていたから、拓海の表情に気づかなかった啓介は、自分のうかつさにあわてた。

「りょ・・すけ・・さん・・もう、オレのことなん・・か・・・」

待って、待って、待ち続けたのに、涼介からの電話が1本も来ず、
挙げ句に、啓介も、会えないワケを知っているのに、自分だけが知らない。
取り残されたような気分と、涼介が心変わりしたのではないかという不安がない交ぜになって、
拓海は、泣き始めてしまった。


「おい・・・泣くなよ・・・」

まるで自分が責められてるような、変な罪悪感にかられて、啓介は頭をぼりぼり掻いた。

拓海の頭をなでてやると、拓海は啓介にすがりついて泣き出した。

「・・しょーがねぇなぁ・・・。」

同じ男なのに、なんでこんなに可愛いんだ・・・・?

啓介はドキドキしながら、拓海の背中に腕をまわした。



落ち着いた拓海は、鼻をすすりながら啓介から身体を離した。

啓介は、拓海のぬくもりが離れるのを名残惜しく思った。

「啓介さん・・・。今日はありがとうございました。」

涙をぬぐいながら言う拓海がけなげで、啓介はもういっかい抱きついてくんねーかなぁ、
なんて、不埒なことを考えていた。

しかし!兄の恋路をジャマするわけにはいかない。

「アニキは、浮気なんてしてねーよ。・・だから安心しろよ。」

「はい。オレ、待ってます。・・・・・涼介さんのこと信じて待ってますから、
って、涼介さんに伝えてください。」

「わかった。必ず伝えるからな。」

啓介は、そう言うと、帰っていった。(もちろん拓海を送ってから)




「啓介・・?帰ってたのか?」

ようやく起きあがった涼介がリビングでコーヒーを飲んでいた。

「ん・・・。まあな」

「アニキ、もう起きていいのか?もう少し寝てたほうがよくねぇ?」

「いや、大丈夫だ。心配かけてすまなかったな。」

「アニキ。豆腐アレルギーなんか気にしねェで、早く藤原に会ってやれよ。」

「・・そうだな・・」

弟のもっともな意見に、涼介は、ふっ、と微笑んだ。

(・・・しかし・・・アレルギーが直らないことには、愛しの拓海と
あーーんなコトやこーーんなコトもできないじゃねェか・・・)


と、結局は自分の欲望に忠実な彗星様なのであった・・・。





毎回男が泣いている・・。
涼×拓のはずが、三つ巴のスーパーバトルになっちまうのかァ!?(笑)
・・・どうなるのかは私も分からなくなってきました・・。(涙)


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