冬の季節 【4】


(今日は腰が痛ェぜ・・)

昨日の激しすぎる涼介のおしおきを思い出して、

啓介は頬を赤く染めた。


さすがの啓介も、「他人の前でリップを塗るな」

という涼介のお達しの意味を何となく分かるようになった。

(その度に何故か男に迫られるので・・・)

が、分かったと同時に、涼介にリップを取り上げられてしまった。

涼介が言うには、




「お前は俺の前でだけ、リップを塗ればいいんだから、

これからは、俺が塗ってやる。いいな?啓介」

ベッドの中で、涼介が啓介の耳元で囁いた。

「ん?ちゃんと聞こえてるのか?」

かるく耳を噛まれて、啓介は思わず声をあげた。

「あっ!・・・聞こえてる・・から・・ア・・ニキぃ・・」

そのまま涼介の首に手をまわして、啓介がおねだりをした。



そこまでを思い出して、啓介はさらに頬を紅潮させた。



「・・け・・。・・・す・・・。啓介!!」

史浩の声で、啓介は、はっ!と我に返った。

「さっきから何度も呼んでたんだぞ」

「悪ィ、悪ィ」



ここはサンズのメンバー行きつけのファミレスである。

さきほどから、啓介が何を考えていたのか、史浩は、

大体察していた。

しかも、その隣に座る人物もおそらく、同じコトを考えて

いたことも察していた。


ふと、史浩は、遠くを眺める。


目の前には、幸せそうな涼介と啓介が仲良く並んでいる。

最近リップがどうのとかで、涼介はいつもソワソワしていたが、

解決したようだ。(見りゃ分かる・・・)


そもそも男にリップを塗らせること自体変だと思うのだが、

(最近は大分塗る人も増えたらしいが・・)

涼介に言えば、黙殺されるに決まってるので、

史浩は余計なコトは言わない。


それが、この兄弟とつき合っていく一番の秘訣じゃないか、

と、最近(遠征が始まってから)特に思う史浩なのであった。



END

 もどる