狂宴【1】 

「アニキィ、入るぜ」
いつもそうやって涼介の部屋へ来る啓介はいつものように
定位置であるベッドに向かう。

涼介は余裕がある時は微笑して振り向いてくれる。
そんな優しい顔が啓介は大好きだ。
でももっと好きな涼介の顔は、パソコンに向かっているときの
斜め後ろから見える顔なのである。

今日は涼介は忙しそうにパソコンに向かっているので、
啓介は思う存分涼介の顔を眺められる。

いつもそういう涼介がイイわけじゃない。
自分に向けられる暖かい笑顔がイチバンに決まってる。
だけど、それだけじゃ物足りないのだ。

ずっと恋していた涼介と結ばれてから啓介は
前よりずっとずっとワガママになったなぁ、と思う。


こうして黙って涼介を見ていると、自分と体を合わせているときの
涼介の汗ばんだ額や、額に少し張り付いた前髪、
綺麗な鎖骨、繊細で長い指・・・・
ここから見える涼介の顔は冷静そのもので、アノ時の表情の
カケラも窺えない。


「啓介」
イケナイ妄想に頭を巡らせていた啓介は、ハッ、と我に返った。
「啓介、お前、いけないコト考えてただろ?」
ニヤリと、端正な顔から怪しげな色気が立ち上る。
そんな笑みを浮かべる涼介のすることは決まっている。
啓介はその予感に体を震わせた。

少し紅潮した頬と潤んだ瞳で、啓介は
「アニキィ・・・」
と答えると、涼介はベッドに近寄って来た。

耳元で涼介が囁く。
「お前、いつからそんなにいけないコになったんだ?」

ゾクリと肩を震わせて啓介は、
「アニキがしたんだろ?」
と、共犯者の笑みをうかべる。
涼介はもっともだ、と笑みを返すと、
啓介の体を貪りはじめた。

兄弟の狂宴ははじまったばかりだ。


END

遂にやってしまいました。18禁(?)
序章・・・ってトコでしょうか・・?
このシリーズはひたすらヤバイです・・。
(ヤバイのは私の頭・・・)

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