125万と1万
124万という巨大な差の中
それでも彼は戦いを挑む
すべては彼女のために・・・
 
 戦いの果て

「遅い・・・。」
アンナは怒っていた。
いや、「怒っていた」と言うよりは
「キレている」と言ったほうが正しいだろう。
あのホロホロやチョコラブでさえ黙ってしまう、
そんな『沈黙の状態』がアンナ1人のおかげで出来ているのだ。
「あの〜、・・・アンナさん?」
沈黙を破ったのはファウストだった。
キレるアンナに恐る恐る話しかけるファウスト。
「何?くだらない事だったら怒るわよ」
しかしアンナはファウストの方など見向きもしない。
ただただ時計を見つめているだけである。
「実は・・・先程巨大な巫力が争ったようなんでス。
 それでですね、その片方が葉くんみたいだったんですが・・・」
「なっ!?」
アンナはファウストの方を向くと真剣にたずねた。
「それは何時の事?」
「5分程前・・・でス」
それを聞くか聞かないかの内にアンナは
立ち上がると走り出した。
しかし
それも選手控え室の出入り口までだった。
出入り口の前に、何所となく葉に似た1人の少年
ハオが立っていたのだ。
「やぁアンナ
 今時分、何所へ行く気だい?」
にっこりと笑顔で尋ねるハオ。
「あんたには関係無い思うんだけど?」
しかし、アンナはにこりとも笑わずに
反対に睨む。
「ひどいなぁ・・・
 僕はただ単に彼を届けに来ただけなんだけど・・・」
ハオはアンナの目をしっかりと見つめると
「ここで会えたのも何かの縁だと思うし
 彼の目が覚める前に君を連れ去ってしまおうかな?」
と続けた。
「寝言は寝てからにしなさいハオ。
 それより・・・、彼って葉の事なんでしょ
 とっとと連れて来なさいよ」
残念・・・
しかし早く連れて来ないとアンナの怒りが
限界突破の域まで入ってしまうのを察したのかハオは指を鳴らした。
次の瞬間、アンナの目の前にいたのは
パッチ五大精霊のひとつ
炎の象徴 『スピリット・オブ・ファイア』
その手の中に何か黒いものが乗っているのが見えた。
それが何かにアンナが気が付いたのは
腕が視線の高さに降ろされてきた時だった。
「なっ・・・よ・・・葉!?
 これは・・・どういう事なのかしら
 きちんと説明していただける?」
そう言う口調さえ変わってはいないものの、
目が据わっている。
それに気が付いたのか、ハオは手早く
「兄弟喧嘩。」
と言ったのだった。
「あんた、ふざけるのもいい加減にしなさい。
 葉がそんな事するわけ・・・」
「葉から僕に売ってきたんだけどな」
アンナにはハオの言葉が信じられなかった。
あのゆるい、争いごとの大嫌いな葉から
喧嘩を売った?
そんな事ありえるのだろうか・・・
「たまたま・・・僕が君を口説いてたところを
 葉が見ちゃったらしくってね・・・」
ハオは苦笑しながら、
しかしアンナの目をしっかりと見据えて言ったのだった。

                                             Next・・・


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<戦いの果て>
睦月様に捧げるストーリー
葉・アンナ・ハオの三角関係・・・
この後どの様に動いていくのか、
それは神のみが知る事。
睦月様、そして ここまで読んでくださった皆様、
本当に有難うございます。
                   June 2002
                      Setsuna J

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メル友・十文字様から頂いちゃいました!
読みました奥さん!(誰)葉アンハオですよ!ウワーイ。
嬉しすぎて死にそうです(寧ろそうするべき)。
続き物のようで!やったー。
あんなヘボ小説のお返しにこんなものをくれるなんて!キリ番ってよいものですね!
(私の"微笑みは消えない"のお返しだそうで…。感激です!)
ファウストがいい味だしてますよね。
私がもしこの小説書いてたら。

「あのー、アンナOKAMI?」
「何!何よサド医者!さっさと言いなさい!」
「あ、あのー…」

みたいになることは目に見えてます(最悪)。

十文字さんは立派です。私なんか蟻んこ程度の文才しかないのに。
十文字さんは恐竜並です。すげえ差。

背景は爽やかに空で。