侵 食 



気がついたら、泣きたいほど好きになってた


知ってたかしら?
あたしはあんたを想う度に泣いてたのよ
そしたらあんたはきっと
「ガラじゃねえな」
って笑うだろうけど。

知ってたかしら?
あたしはずっと
あんたと初めて身体を交わしたときから
ずっと気になっていたのよ。
云ったらあんたはきっと
「嘘だろ?」
とおどけたように云うだろうけど。


でも此れは本当に真実で
何時も女子に囲まれてるあんたを遠目に見てた
その度に胸がリアルに痛んで
自分自身の思いなんて吹っ飛んで
勝手に涙が出てきてたの
教室の隅でずっと泣いてた
母親に裏切られた、小さい頃のように
頭の中はあんたの名前が回ってて
其れがノイズのようにあたしの耳から離れなかったわ
此処まで云ってもあんたは
あたしがあんたを愛してないって言い切れる?

心が苦しい。




まだ煙があがっている銃を下ろした。
眼の前には杉村と加代子。
ああ、あんたはもう死んだんだっけ?
仲良しな友達と一緒に死んだんだっけ
あたし、あんたのこととなるとまともに考えられない。

ねえ、あたしをあんたは愛していた?

もう答えてはくれないだろうけど。

身体の中が重くなって
やがて意識を失った






-------ああ、死んだら教えて、この質問の答えを。


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小説というより、詩に近い感じで。
シリアス光子。シリアス三光。
より子。の「ほんとはね」を聴きながら。