月光                  ゼルガディスからアメリアに。

     

     

 わかってないのはお前の方だ。
 これほどまでに傷つけられたことなどなかった。
 お前のその心が、
 そのまなざしが、
 もっと醜く汚れていたなら。

     

 これは苦しみじゃない。
 哀しみでもなく憎しみでもない。
 お前に傷つけられたこの痛みは
 俺が血の通った人間であることの証、
 この心の闇と向き合える日までの、
 きっとまだ遥かに遠い、しかし確かな道のり。

       

 それでもアメリア、
 今の俺は知っている。
 あれほど光に溢れた(溢れすぎて時に迷惑なくらいの)お前にも、
 人知れず眠る血色の翳りがあることを。

        

 それゆえに傷つけあうこともあるだろう。
 憎み、恐れあう日が来るかもしれない。
 だが信じてくれ。
 俺はお前を決して裏切ったりしない。
 そしてただ
 深く静かに・・・・・

    
        
 その翳りごとお前を包む光になる。

       

 どれほど離れていても、
 どれほど心の血を流しあっても、
 いつか岐れる日が来たとしても、

お前のその眼差しに導かれて
俺は
      
     
お前だけを守り続ける

      

ただ一つの、光になる。

         

          

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