姫小話                  ホンネ

          

            
         
 とある町のカフェにて。
「ねえアメリア。あいつのどこが好きなの?」
 アメリアはきょとんとリナを見つめ返し、それからほえ、だかふにゃ、だか妙な声をあげ握っていたパフェのスプーンをぽろりと落とした。
「リナさん〜〜〜〜〜!!!いいいいいきなり、な、何言うんですか〜〜〜〜〜!!!」
「前から気になってたんだ−。この際だから聞いてみよーかなっ、と思って」
 リナはアメリアのパフェについていたウエハースを摘まみ上げると指先でクルクルと回しながら、
「だあってえ、あんたってずうぅっとゼルだけじゃない。セイルーン家と言えば名だたる王族!いちおうそこのお姫さまなんだから−−−−全然そうは見えないとこもあるけど(ボソ)−−−−、どっかの王子とか大臣の息子とか、もっといい人いくらでも知ってそうなもんでしょ」
「そんなことないですよう」
「かもしれないけどさー、なんでゼルなのかなってのがあたしにすれば不思議なわけよ。正味な話、あのひねくれモンのどこがそんなにいいの?」
「どこって言われても〜〜〜〜」
「日持ちがよくて使い勝手がいいのはいいのよね。持ち運び便利だし頑丈だし錆びないし。あ、錆びるんだっけ?」
「ゼルガディスさんはお得な日用雑貨じゃありませんよ」
「雑貨の方が可愛げがあるわよ。文句垂れたり拗ねたりいじけたりしないもん」
「そこがかっこいいんじゃないですかあ」
「そこって!?何?どこっ!?」
「このリナさんにどーどー(堂々)と文句言えたり、素直じゃなくていじっぱりで、でもほんとは寂しがりやさんですっごくすっごく優しいところです!!(きっぱり)」
「ってゆーかあんたにだけ甘いってゆーか」
「何よりあの髪とお膚!誰がどう見てもゼルガディスさんだと一目でわかる岩粒なんかクールっぽくてステキでですよね〜!」
「や・・・本人はそれが一番ヤなんじゃないかと・・・」
「そんなことないですよう。わたしが大好きなのはこの世界でたったひとり、キメラのかっこいいゼルガディスさんだけなんです!!(ぐぐっっ)」
「(ふら)・・・・聞いたあたしがバカだったわ・・・・」
   
   
    
 そんな会話を常軌を逸した聴力とエルフ耳で聞き取ってしまった通行人。
「言われてるぞゼル」   
「・・・・」
 恋する魔剣士の明日はどっちだ?!

    
            
                       

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