「そこ行く綺麗なお嬢さん。どうです?私と目覚めのコーヒーでも……」

綺麗なお嬢さん達に(世の女性は皆綺麗だ)こうして声をかけるのが俺の日課。

たいていは断られるが、声をかけることに意義があるのだ。

そうして今日もいつも通り断られ、1人ぶらぶら歩いている。

……!?

あ、あ、あそこに見えるのは……もしかして、師匠!?

もしかしなくてもあの美貌!美脚!美乳!美尻!

この俺が見間違えるわけがない!

「師匠〜!!」

ああ、その秋桜みたいに可憐な色の髪。

男だけじゃなく、世の女性達からも羨望のまなざしで見られるその柔らかそうな豊満な胸!

そのすべすべしている太股!

流れるように揃っている白く美しいその両足。

これぞ、理想の理想。究極の美女!

ああ、一度夜のお供をしてもらえればこの世に悔い無し。俺はいつでも死ねる!

「師匠、どうっす?これから俺とメイクラヴでも……」

う゛っ。

さすが師匠。何も言わず、無表情を崩さぬまま鳩尾に一発決めるなんて。

だが、このオラトリオ。こんなことでは挫けたりなどしませんぜ!

師匠の愛の鞭ならいくらでも受けます。そう「女王様、もっと——」と!!

「何にやけてるんだ。朝っぱらから変な想像でもしてるみたいだな……」

朝も夜も関係なく、俺は貴女を想ってますよ、し・しょ・う!

げほっ。

さすがに2連発はきついです。でもこれも愛の修行ですね?

そんなに俺の愛を試さなくても、俺はいつでも貴女だけを見てますって。

そう、ゾッコンLOVEです。

って、師匠!俺を置いていずこへ——!?



「師匠!ここにいたんですか」

もう、捜したじゃないですか。

俺がいないと寂しい癖に。俺から離れて行くんだから。

その天の邪鬼なトコも師匠の魅力の1つなんですけどね。

「俺様に何か用か?」

『何か用か?』だって?強がっちゃって。

俺に逢いたくて逢いたくてたまらなかったっんでしょう?

「ええ、デートしましょう!」

そう、2人だけで見晴らしの良いホテルのレストランで食事。

いやまて。ここはムード重視で夕日の見える海辺で——!?

いや、やっぱり初めてはちゃんとした場所でしたいよな。

「お前、今日は<ORACLE>はいいのか?」

やだなぁ、こんな時にあいつの名前を持ち出すなんて。

大丈夫、ちゃんと考えてますって。

「誰にも破られない罠<トラップ>かけてきました。<ORACLE>は大丈夫。あれで今日1日は持つでしょう。

あれを突破できる人間はそういませんよ。

だから、師匠デー…」

って、どうして貴女は俺の胸の中に飛び込んでこないんで?

いくらなんでも、音井教授じゃぁ俺の替わりは無理ですぜ?年齢的にも体力が……。

それに、俺の方がいい男でしょう!!なのに何故、じーさんと奥の部屋へと消えて行くんですかー!!



「なんだ、俺はてっきり……」

「“てっきり”……なんだ?」

奥の部屋であーんなことや、こーんなことを展開してるのかと。

誤解で何よりです。そうですよね、師匠ともあろうお方があんなじーさんで手を打つはずがないっすよね。

それはそうと、貴女のメンテで時間をくっちゃって、もう夕方。

急がなけりゃ、夜景の見えるホテルか、砂浜に寝そべっての星空観察会しかできませんよ?

まぁ俺はどっちでもOKですけど。師匠さえいれば!

なんなら今すぐ押し倒しても……!!

……って、師匠?

ジョークです。ジョーク。そんな顔しないでくださいよ。

ちょっとした冗談ですって。

で、どこ行きやしょう?

え、ヘル?ヘブン?

ヘヴンですね。このオラトリオに任してください!

Hey,TAXI!

「お客さん、どこまででしょう?」

聞き覚えのある声に、見覚えのある藍色の髪。

こ、このタクシーの運転手……。

我が宿命のライバル、クオータ!!

「お久しぶりです。元気にしてましたか?」

いや、そんなことはどーでもいい。

なんでお前、運ちゃんなんかしてるんだ?それが一番気になる。

でもな、そんな疑問、師匠の前では何のその。

今の俺の思考は師匠のことばかり。

おい、運転手!ここまで連れて行け。

事前に入手していた地図を見せる。

「——オラトリオ、貴方なかなか……」

ふっ。俺はお前のオリジナルだぜ?

こんなこと朝飯前さっ。

いいからとっとと行け!

俺とししょ…、コードの記念となろう場所へ!!

さぁ、いざ行かん!



「さぁ、コ、ココココココッ、コード。着きました」

先に車を降り、タイミング良く手をさしのべエスコート。

クオータに早く別れを告げ、2人の世界に行きましょう!!

「……楽しめるだけ楽しんでおきなさい。

ではまた会いましょう」

捨て台詞残してクオータは去っていった。

なんだったんだ?あの野郎。……まぁいい。

さぁどうです師匠!お気に召しますか?

俺がこの日のために用意した場所。

ムード満点、景色最高、天国にも地獄にも出来る場所。

そして、あっちの方の設備も準備もばっちりな場所。

最高級ラ○ホテル!!

ごほっげほっ。

やだなぁ、言い間違いですって。

鳩尾を攻めるのはやめてくださいな。

ほら見てくださいよ。海も見えて、プールも設備。

完全防音のスウィートにムフフな照明。

数ある女性誌で泊まりたいホテルNO.1獲得している。

そう、ここに来て落ちない女性はいないハズ!!(オラトリオ調べ)

師匠、今夜こそ貴方の裸体、拝見させていただきます!

れ?らしくない、くしゃみなんかして。

寒いんでしょう。コレでも着ててくださいな。

ま、すぐに脱がしてしまうかも知れませんがね。

「ぇえーいっ!寄るな!触るな!近づくな!!」

し、師匠……何故!?

このオラトリオ、誠心誠意貴女に尽くして参りました。

それなのに、何が気に入らないんです!!この俺の何が!!

少しぐらいえろくても、それが男の甲斐性だ!!わかってくれますよね?

『知るかっ』って、師匠—。ここまで来ておきながらそれはないでしょう。

もう、我慢できません。

ムードもなにも知るもんかっ。

「いただきます——」



し、死ぬかと思った——。

あの美しい顔を歪めずに、俺を殴る蹴る……。

あーんど、精神的攻撃を……。

いつもの俺ならくたばってるかもしれなかったが。が!

今の俺は欲望に向かってひたすら突き進んでいる煩悩の固まりだ!

いくら攻められようが何されようが、ききませんって!

俺は愛の鉄人2○号です!!

だから、ね、師匠……。

ホテルの部屋についたことですし……。

いいでしょう?

半年以上も焦らされたんっすよ?もうそろそろ……。

『しょーがない』!?

……やったぜ、苦節6ヶ月……(以上)

やっと俺は好きな人の前で男になれるぅっ!!

今度こそ本当に

「いただきます——」

師匠をベットに押し倒し、着ているものを脱がそうとしたその時。

お約束と言っていい、通信が入った。

やめろ!やめてくれ!!

俺は師匠と一夜を共にするんだ——!!

そんな叫びも空しく非情にも通信は切れない。

「オラトリオー!!どこでサボってるんだ!!さっさと<ORACLE>に来ないか!!」

オラクル、お前さー、本っ当に。

俺の行動、監視してるんじゃないのか?



当然、この日師匠の裸を拝めなかったのは、言うまでもないだろう。

そして、この日<ORACLE>に行った俺を待っていたのは。

師匠に会いたいが為に、日頃ため込んでいた書類の山と、

相棒の苦笑いと、一緒に行った師匠の嘲笑うかのような笑みだった。

俺に明日はあるのか——!?

……続く(かもしれない/爆)





リクキリ番1000GETの真津美様に捧げるオラコー小説。超ギャグ。
ごめんなさい。リクこなしてません。(涙)
落ちが、落ちが、ありきたりだし。
つーか、オラトリオは仕事はちゃんとしていることでしょう。
教訓:ギャグはなるべく避けて通るべし。(爆)
お粗末様でした。



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