[ NOVEL ]










満月の呪い[まじない]をかけてあげよう



人形[おまえ]がいつもその躰に私を感じられるように



そして、私から逃れられぬように___











雪がはらはらと舞っていた日だった。
貴人はそっと部屋の窓から身を乗り出し、その雪を手のひらで受け止める。
しかし、その雪も彼の体温で溶かされていく。

「儚いね」

どうしたら、この雪が溶けずに自分の元に残ってくれるだろう。
そんなことをただぼんやりと考えていた。


どのぐらい時間がたっただろうか。
部屋で内緒で飼っている子猫が寒さで貴人の脚にすり寄ってきた。
「あ、ゴメン。寒かったよね?」
貴人は惜しげもなくぱたんと窓を閉めると、そっとその猫を抱き上げた。
猫はにゃあとひと鳴きして、物欲しそうに彼を見上げる。
一瞬、戸惑ったが近くにあった時計を見て気づいた。
「ご飯の時間だったね。」
猫を床におろすとがさごそと戸棚を探してみる。
しかし目的のエサが見つからない。
「・・・そういえば、今朝ので最後だったっけ?買いに行かなきゃ」
そうと決まると貴人はてきぱきと身支度をして玄関へ向かう。
「猫、少し待っててね」
名も未だにつけていない猫に手を振って、外へ出た。

貴人の住んでいるところはひっそりとしたアパートの一室。
見かけが古いのであまり人は住んでいない。
しかし、貴人はそんな所と意外な部屋の広さが好きだった。

アパートの玄関を抜けると先ほどよりも強くなっている雪に気づいた。
「傘、持ってこれば良かったかな」
さくさくと雪を踏み、近くのコンビニへ急いだ。
そこで、エサ以外にも自分の夕食をいくつか買い、
だるそうに礼の挨拶をする店員を無視して、外へ出る。
だんだんと強さを増す雪。
すぐに貴人の方にも降り積もる。
早足で道路を走っていると、ふと路地裏から何かが見えた。
「・・?」
寒さを我慢して、そちらの方へ向かってみる。
だんだんとハッキリしてくる形。
「・・・人?」
薄汚れたビルにもたれかけた少年。
しかし、意識がないのかぴくりとも動かない。
「ねえ、ちょっと・・・。」
揺すったりもするがまったく反応はない。
そして、その服装にも目がいった。
シャツ代わりの白い白衣。薄手のズボン。
それだけだった。
この寒い季節にそれだけしか身につけていない少年。
「やばいっ」
貴人は急いでその少年を抱き上げ、目の前の自分のアパートへ駆け込んだ。
鍵をあげると猫がまた鳴いたような気がするが今はそれどころではない。
「・・・温めなくっちゃ」
風呂場へ走り、急いで湯をはる。
その間、毛布などを少年の身体にまきつけ少しでも温めようとした。

雪のように白い少年。
そして、その命も雪の様に消えかけている。

顔もしらない人間にこんなに一生懸命になる自分がどこか可笑しい。
少しだけ体温の戻った身体を抱いてその夜は更けていった。


ただ引っかかったのは、その身体に紅いしるしがあったこと。
それもたくさん。
まるで白い雪の上に散りばめられた異形の桜の花びらのように。






□いいわけ□
どーも、へぼへぼ初作品でっす。
しかも連載、なぜか闇末・・・。謎です。大謎です。
どうして闇末を書いたんでしょうか・・・?
よく覚えてないけど、さくらに「何か書け!!」と言われたからかなぁ?
「闇末以外はゆるさん!!」みたいな感じで。
えっと、なんか1000hit取ったんだよね?さくらが。
じゃあ、この話はさくらに捧げます。
ホントに意味不明ですみません・・・




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