「できたあ!あとはこれをラッピングして・・・と」
この少女の名前はコレット。今年のローズコンテスト出場者の一人。
ちょっぴり内気だけどとてもがんばりやさんです。
今日はバレンタインデー。彼女も誰かにチョコをあげるようです。
彼女の好きな人はジュース担当のゼフェル先輩。
スウィートナイツの一人です。
最初はぶっきらぼうな態度でコレットを驚かせましたが、一緒に町を回るうちに少しずつ話すようになって、最近では優しい笑顔をみせてくれるようになり彼女は先輩に淡い恋心をいだくようになりました。
「先輩ともっと仲良くなりたい。チョコ受け取ってもらえるといいな」
彼女がジュースの出店の前に行くともうすでにたくさんの女の子が店の前に群がっていました。
女生徒1「キャー、ゼフェル先輩、これ受け取ってー!!」
女生徒2「ゼフェル君、これ私が作ったの、食べてみて!」
「みんな、すごい。ゼフェル先輩ってやっぱりもてるんだあ」
内気な少女はこの光景を見て、せっかくの勇気がだんだんしぼんでゆきました。
「どうしよう、こんなたくさんの人がいちゃ恥ずかしくてお店に行けないよ」
ちょうどその時、ゼフェル先輩の怒鳴る声が聞こえました。
「おめーら、うっとうしいぞ!おれは自分の好きなやつのしか受け取るつもりはねーんだよ!」
「がーん、ゼフェル先輩、もう好きな子がいるんだー」
この言葉をきいて、コレットはますますチョコを渡す勇気がなくなりました。
とぼとぼと帰ろうととしたとき、ばちっとゼフェル先輩と目線があってしまいました。
「あ、コレット!!待てよ!」
動揺したコレットは思わず逃げるようにその場から走り去ってしまいました。
「はあはあ、びっくりしたあ。急に名前を呼ばれるんだもん。」
気がつくと、家庭科室まで戻ってきていました。
「このチョコどうしようかな。自分で食べちゃおうかな」
きれいにラッピングしたチョコレートを開けようとしたその時、
「おめー、何で逃げるんだよ」
「きゃー!ゼ・ゼフェル先輩、なんでここに!?」
そこには、息を切らしたゼフェル先輩が立っていました。
「おめーの後を追いかけたに決まってんだろ!それにしてもおめー意外と足速いな・・・ってそんなことはどーでもいいんだよ!」
ゼフェルはこほんと咳払いすると、
「あー、おめーあんとき、いたんだろ?」
「あの時って・・・?」
「おれが『好きなやつからしかチョコ受け取らねー』っていったときだよ!」
「はい、きいてました。だから逃げたんです。」
「なんでだよ、折角受け取るってゆってんのに」
コレットは目をぱちくりさせました。
「あの、ゼフェル先輩それはどういう・・・?」
「相変わらず、にぶいやつだな。おめーが好きなやつだからに決まってんだろ!」
そう言うとゼフェル先輩は真っ赤になってぷいっと横を向いてしまいました。
コレットはしばらくぽかんと口を開けていましたが、だんだんといわれたことの意味がわかってきて、こちらも真っ赤になってしまいました。
「きこえたのかよ、だから、その・・・なんだ、そのチョコ渡せよなー。」
「は、はい、どうぞ受け取ってください!」
「なんだ、それだけかよ。ほかにゆーことないのか?今日はバレンタインデーだぜ?」
ゼフェルはにやにやしながらこう言いました。
コレットは真っ赤になりながら
「・・・ゼフェル先輩、大好きです。これからも仲良くしてください!」
それだけ言うと恥ずかしくて顔を両手で覆ってしまいました。
「おれもおめーのこと好きだぜ。これからも仲良くしよーな。そうだ、来週の休みどっかいくか?ちょっと早いけどホワイトデーのお返しってやつだ。」
「はい!連れてってください!」
その後、いつも一緒にいる二人の光景が学園のあちこちでみられたということです。
おわり
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