とある1日。


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「明日、お時間ありますか?」
 昼間、鋼の守護聖の執務室を訊ねたアンジェリ−ク・コレットは、すべすべの頬を真っ赤にしながら、恥ずかしそうにそう口にした。
「あ?明日?べっ…別にいっつも暇してるってわけじぇねーけど、明日はたまたま時間が空いてるからいいぜ。」
 アンジェリークの突然の申し出に、心の中でガッツポーズを出して喜んでいるゼフェルだがそこはそれ、器用さを司ってるくせにそっち方面じゃめっきり不器用なゼフェルは、そんなこと絶対表にはみせないのだ。
「じゃ、明日のお昼にこちらにお伺いしますね♪失礼します。(^^)」
 そんなゼフェルの心の動揺を知ってか知らずか、アンジェはにっこりと微笑み部屋を出ていった。


「明日かぁ〜…へへっ わざわざ確認してくるっつーことは、育成を頼みに来るとかそういうんじゃないよな?デッ…デートか?デートの誘いだったのか???まっ…まさかなぁ〜(///)。」
 アンジェリークの甘い香りが残る執務室の中で、1人妄想にふけるゼフェルであった。


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 そして、翌日。
 アンジェが約束通り、ゼフェルの執務室へとやってきた。
「で、な…何のようなんだよ?お…俺だって暇じゃねーんだからなっ?」
 いつものように、優しく(?)語りかけるゼフェルに、アンジェはまたしてもゼフェルを妄想の世界へ誘う一言を曰った。
「私邸に連れて行っていただきたいんです…。(ぽっ)」
 この台詞に付け加え、“ぽっ”っという赤らんだ表情が、更にゼフェルの妄想癖(?)をかき立てる。
『し…私邸!?私邸で一体何をするってんだぁ〜〜〜っ!?』←!?
 ゼフェルの心の中で、妄想が何処までも膨らんでいっていることなどつゆ知らず。
 アンジェは、つつつ…と、ゼフェルの側に近寄り、少し下の視線から上目使いで 「ダメ…ですか?」と不安げに見上げる。
“ぷっつん”
 そんな表情で見つめられてしまった日には、理性もたがも全てはずれでしまうというモノだ。
「ダメなわけねーだろ!いくぞ!今いくぞ!!すぐいくぞ!!!」
「あ…あの……ゼフェル様???」
 ゼフェルは、なんとなくいつもと違うゼフェルに戸惑いを感じるアンジェの手を握り、グイグイと引っ張りエアバイクの後ろに乗せて、速攻で私邸へと向かった。


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 すごいスピードですっ飛ばし、あっと言う間に私邸に到着した。
ゼフェル:「おい、大丈夫か?」
アンジェ:「す…少し…クラクラします…。(☆。★)」
ゼフェル:「わりっ…ちょっと飛ばしすぎたな。よし、おぶってやるから背中に乗れよ。」
アンジェ:「え?イヤ、大丈夫です…きゃっ!?」
 エアバイクも妄想も、全てが急加速しているゼフェルは、何の躊躇もなく寝室へと向かった。


アンジェ:「……………。」
ゼフェル:「ア…アンジェ………。」
アンジェ:「……………ひどい…。」
ゼフェル:「あん?」
アンジェ:「………………ひどすぎます…ゼフェル様…」
ゼフェル:「なっ…何がひどいんだ???(←おろおろ)」
アンジェ:「汚れてると思ってましたけど、ここまでとはっ!!?」
ゼフェル:「あん???」